ブロック線図単語

ブロックセンズ
1.9千文字の記事
  • 0
  • 0pt
掲示板へ

ブロック線図とは、制御信号を有向グラフで表現したものである。

概要

拡散方程式運動方程式などの、ある種の微分方程式ラプラス変換をすることで簡単な代数方程式になる。例えば、摩擦のある地面でバネ付きの重りを外uで押すとき、位置x(t)に関する運動方程式は以下のようになる。ここでは時間微分演算子をDと書く。

mD2x(t)+μDx(t)+kx(t)=u(t)

これをラプラス変換すると、時間tの微分方程式が周波数sの代数方程式になる。

ms2X(s)+μsX(s)+kX(s)=(ms2+μs+k)X(s)=U(s)

位置x(t)がラプラス変換を通すことで、U(s)=X(s)(ms2+μs+k)という簡単な式になった。これを逆ラプラス変換することでx(t)を簡単にめることができるのである。

X(s)をハードディスクの磁気ヘッドの位置と考えてみる。外u(t)をコントロールすることで磁気ヘッドを決められた位置に素く動かして固定したいという要が出てくるが、u(t)をどのような値に制御すれば要を満たせるかということを上記の式から導くのである。

何らかの方法で現在位置や現在速度を測定することでu(t)を制御し位置x(t)を制御する方法をフィードバック制御という。フィードバック制御をする場合、どの信号がどの段階で方程式にフィードバックされるべきかを考える必要があるが、その信号の流れをグラフ化して表現したものでがブロック線図である。

X(s)の係数を1/G(s)と置くことで、X(s)=U(s)G(s)という式になるが、これをブロック線図に表すと以下のようになる。Gを伝達関数と呼ぶ。

U→[G]→X

Xをフィードバックし伝達関数Hを作用させると以下のようになる。

U─┬→[G]┬→X
   └←[H]┘

ブロック線図を細かく調べると、上記フィードバックグラフは以下と等価になる。

U→[G/(1-GH)]→X

このようにグラフにして見通しを立てやすくし、Uの制御方法やXの安定性などを解析するのである。

ブロック線図の代数

ブロック線図はモノイドかつコモノイドであり、双代数の構造を持つ。代数構造とシステム制御でよく用いられる言葉を併記する。矢印記号⇐⇒は左右のグラフが等しいことを表す。

・恒等…なにもしない、定数関数1を掛け算する

X→X  ⇐⇒ X─[1]→X

・単位(生成)…信号を追加する

*─→X

・余単位(破棄)…不要な信号を破棄する

X─*

掛け算作用素(伝達関数)…XにGを掛け算してGXを作る

X─[G]→GX

掛け算作用素の交換法則(伝達関数の交換)…伝達関数はどちらを先に掛けてもよい

X─[G]─[H]→GHX ⇐⇒ X─[H]─[G]→HGX ⇐⇒ X─[GH]→GHX (HGX=GHX)

・双対(フィードバック)…矢印の向きを逆転させる

X─[G]→GX ⇐⇒ X←[1/G]─GX

・積(加え合わせ点)…信号XとYを足し合わせる

X─→X+Y
Y─┘

・余積(引き出し点)…信号Xをコピーして分岐させる

X→X
  └→X

・結合法則(加え合わせ点の入れ替え)…足す順番を入れ替えてよい

X┐            X─┐
Y┴┬→(X+Y)+Z  ⇐⇒   Y┬┴→X+(Y+Z)
Z─┘           Z┘

・余結合法則(引き出し線の入れ替え)…引き出す順番を入れ替えてよい

  ┌─→X          ┌X
X┴┬→X   ⇐⇒  X┬┴X
   └→X         └─X

・分配法則(伝達関数と加え合わせ点の入れ替え)…伝達関数が加え合わせ点を跨ぐとき以下のように分配される

X[G]→G(X+Y) ⇐⇒ X─[G]→GX+GY
Y┘           Y─[G]┘

X─[G]→GX+Y ⇐⇒ X────[G]→GX+Y
Y───┘        Y─[ 1/G]┘

・余分配法則(伝達関数と引き出し線の入れ替え)…同上

X─[G]→GX ⇐⇒ X[G]→GX
    └→GX      └[G]→GX

X[G]→GX  ⇐⇒ X─[G]──→GX
  └──→X          └[1/G]→X

双代数法則 …積と余積の交換法則

→X+Y    X───→X+Y
Y┘└→X+Y ⇐⇒   └┐_┌┘
           ┌┘ └┐
           Y───→X+Y

ジグザグ恒等式…単位、余単位、積、余積間の関係性を表す恒等式

 X─→┐               ┌─→X
   ┌→→*  ⇐⇒ X→X ⇐⇒  *→
*→→─→X            X─→→*

⇐⇒ X─→┐       ⇐⇒      ┌─→X
     ┌←┘             └←┐
     └──→X          X─→┘

以下のグラフは上記法則から導かれる定理である。

・フィードバック結合

X→[G]─→→(G/(1-GH))X ⇐⇒ X→[G]→→(G/(1-GH))X
   ↑     ↓              ↑    ↓
*→[1/H]→→*             └[H]←┘

⇐⇒ X─[G/(1-GH)]→(G/(1-GH))X

関連項目

【スポンサーリンク】

  • 0
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

ニコニ広告 (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: ゲスト2
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

ブロック線図

まだ掲示板に書き込みがありません…以下のようなことを書き込んでもらえると嬉しいでーす!

  • 記事を編集した人の応援(応援されると喜びます)
  • 記事に追加して欲しい動画・商品・記述についての情報提供(具体的だと嬉しいです)
  • ブロック線図についての雑談(ダラダラとゆるい感じで)

書き込みを行うには、ニコニコのアカウントが必要です!