高野町単語

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高野町とは、

和歌山県伊都郡にある町。こうやちょう。
広島県比婆郡にあった町。2005年に庄原市と合併し消滅。たかのちょう。

ここでは、1.の和歌山県の町について触れる。

概要

高野町（2021年 9月1日時点）
面積	137.03km²
人口	2,892人
町の花	シャクナゲ
町の木	高野槙
隣接市町村	和歌山県橋本市伊都郡：九度山町、かつらぎ町奈良県五條市吉野郡：野迫川村

紀伊山地の山間、標高800mほどの地にある町。平地はまずほとんどなく、山奥に一気に市街地が現れる。人口は減少して著しい過疎化が進んでいる。

816年に嵯峨天皇から空海にこの地が下賜され、空海がこの地に「金剛峯寺」を開いたのがその始まり。それ以来霊場として都の人々に親しまれ、戦国時代は混沌とする紀伊の寺社勢力の一角として存在感を示した。これに関連し明治時代までは空海が張った東西南北七里四方に結界が張られ、その中では長らく高野山に自治権が認められていた他、「肉食・魚食の厳禁」「女人禁制」「鳴り物厳禁」「鶏と猫の飼育厳禁」が禁制とされていた。この肉食禁制という状況下で発展したのが「凍り豆腐」、いわゆる高野豆腐である。ただ、現在高野山名物とされるのは「ごま豆腐」という、大豆ではなく葛粉とごまから作った豆腐である。農産物では松茸やミョウガが有名。

明治になり高野山の自治権が廃止されるとこれらは効力を失い、各所にあった女性用の高野「女人堂」の多くも荒廃してしまったものの、現在は肉屋や魚屋が営業し、猫も飼われ女性も入れるようになっている。それでも霊験は変わらずであり、現在でも信仰の地として多くの参詣客・観光客を集め、町の中心地である金剛峯寺の門前、江戸時代以前の「結界」の内側にある多数の堂坊が、そして各寺、特に空海が今でも生きていると信じられている「奥の院」参道には偉人から近年の企業の墓や慰霊碑が立ち並ぶ。また、その参詣道である「熊野古道」は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に指定されている。近年はミシュラン三ツ星観光地とされたこともあり、海外からの観光客増加も著しい。

一方で、高野山の外に当たる富貴地区や南海高野線沿線は完全に秘境といった趣で、「裏高野」と通称される。この区間内の南海高野線・鋼索線の紀伊細川駅・紀伊神谷駅・極楽橋駅・高野山駅はいずれも秘境駅として知られ、特に極楽橋駅と高野山駅は山のど真ん中の駅周辺から出るとなると登山することとなる。なお、富貴地区には「筒香」という地名があり、この名字を持つプロ野球選手の存在もあって「つつごう」と呼んでしまいがちだが、この地名の読みは「つつが」である。ちなみに古くから荘園として栄えた村であり、かの選手も高野山のふもとの橋本市出身なので、おそらくルーツは筒香荘にあるのかもしれない。

町には高野山が江戸以来の教育組織を基盤に設立した「高野山学園」があり、長年和歌山県に本部を置く唯一の私立大学であり、全国でも高い標高にキャンパスを置く「高野山大学」、全国でも珍しい宗教科を設置している「高野山高校」を設置している。

橋本から走る国道371号高野龍神スカイライン開通・無料開放により大きく改善はされたが、山中ということもあり、交通は貧弱。特に富貴地区と高野山との交通状況はあまりよくなく、奈良県とのつながりが強い。一方で公共交通の便は観光地ということもあり豊富で、南海りんかんバスにより山中各所から全国でも珍しいバス専用道路を経由して高野山駅を結ぶバスが多く運行されている。