AGM-114とは、アメリカ合衆国で開発された空対地ミサイルである。
概要
1980年代に攻撃用ヘリコプター用の対戦車ミサイルとして開発・配備され1989年のパナマ侵攻で初めて実戦投入された後、1991年の湾岸戦争でそれまでの主力対戦車ミサイル『TOW』と同等の地位を確立した。
なお、通称は『ヘルファイア』であり『地獄の業火』を意味する英語が本来の意味だがこのミサイルの場合『Helicopter-Ⅼaunched-Fireandforget(ヘリコプター発射式撃ち放し)」の略称である。
但し後述の改良の結果、固定翼機(無人機含む・亜音速以下に限定)、車両・艦船(いずれも試験レベル)からの運用も可能である。
構造
ヘルファイアの誘導方式は「セミアクティブ・レーザー誘導方式」で、目標に向けて照射されたレーザーの反射をミサイルのシーカーが捉えて命中する。目標へのレーザー照射を別のユニット(偵察ヘリや地上の歩兵・車両)が行うことで、ミサイルの発射プラットフォームはヘルファイアを目標の方向へ発射するだけという「撃ちっぱなし」も可能になっている。
その後の改良によってレーダーや赤外線画像誘導を追加され発射後に位置を離脱することが可能になり『撃ち放し』能力を獲得した。なお、改良前から発射した機体とは別のレーザー照準機が捉えた目標を攻撃することも可能だった。
運用上、搭載弾頭は対戦車用の成形炸薬弾頭が基本だが陣地攻撃用の通常榴弾、サーモバリック弾頭も用意されている。
ちなみに最高速度はマッハ1.8だが射程は10㎞を越える型は現状存在しない。
R9X[1]
弾頭部には爆薬の代わりに6枚の長い刃が取り付けられており、目標到達寸前に開くかたちになっている。これによって、車両や建物の中にいるテロ組織幹部などの標的を、周囲の民間人を巻き添えにせずに殺害する。
R9Xの開発が始まったのは2011年で、バラク・オバマ大統領(当時)が空爆による巻き添え被害の軽減を軍に要請したことで開発が促進されたという。
ウォール・ストリート・ジャーナルは2017年と2019年にR9Xの使用があったことを特定したが、いずれも当局者はR9Xの使用を認めていない。
関連作品
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関連項目
脚注
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