アンリミテッド・ウィングス単語

アンリミテッドウィングス

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「アンリミテッド・ウィングス」とは米国ネバダ州・リノで開催されるレシプロ機レースの最高峰、リノ・エアレース・アンリミテッドクラス優勝を目指し、#27"ファイアバード"のオーナーであるリズとパイロット・の鉄也が、戦後日本の復興を支えたオヤジ達と共に奮闘する姿を描いた漫画である。
月刊ドラゴンエイジにて2005年から連載された。

究極のレシプロ機に賭ける者たちの、狂おしいまでの情熱が、ここにある！　　　　　　　　　　　　河森正治

著作者：松田未来
監修：藤森篤（航空ジャーナリスト）
取材協力：トニー比嘉（#31 TANGO-TANGO）

概要

米国で毎年9月に開催されるリノ・エアレースを舞台とした漫画作品。
フルチューンされた第二次世界大戦時代の戦闘機を駆るパイロット達と、幻の高速機"Fire bird II"を駆る主人公・荒蒔鉄也、チームオーナーにしてリノの女神ことエリザベス＝ホワイトヘッド（リズ）の戦いを描く。

彼らが参戦するアンリミテッドクラスは、重量4500lb（2041kg）以上のレシプロ機であれば改造無制限、上位の機体はエンジン出力4000馬力、最高速度 500 mph（800km/h）を越える化け物揃いのクラスであり、まさに"世界最高峰"の名に恥じない熾烈なドッグファイトが繰り広げられる。

美少女とオヤジの作画に定評のある松田氏が描く本作は、実在の人物や機体が登場する事もあり、地元紙にも取り上げられた。スキップ＝ホルムらパイロットや関係者に読まれ好評を得たとの事で、9月のリノにねんどろいどのリズが出現して関係者と記念写真をとったり、リノ・エアレースの最高責任者を篭絡したりしている、らしい。
近年は松田氏が考案した擬人化キャラクターがチーム公認となるなど、会場で萌えキャラを見かけたらだいたいこいつのせいである。

漫画は2巻で終了したが、その後チームが世界最高速度記録に挑むエピソード「UW2 Absolute Record Wars」（全6話）が作者によって自費出版された。また本作の登場人物マリア＝カラスを主人公とした（スターシステム）「V&W　Co.Ltd～航空機再生株式会社～」がある。現在はともにマンガ図書館で無料公開中。

ストーリー

"Reno"灼熱の陽光と底深き蒼空の地　　　"祭り"を前にした500 mphの円形競技場・・・・・・
電柱をかすめる様な高度15メートルの"超低空"を時速800 キロで疾る怪物の一団があった！

第1巻

米国・リノで開催されている世界最高峰のエアレース"Reno National Cham pio ns hip Air Races"

#27"ファイアバード"のオーナーを務めるリズことエリザベス＝ホワイトヘッドは、アンリミテッドクラスの王者・スキップ＝ホルム擁する#4"ダゴレッド"に打ち勝つべく、大田区のエンジニア・荒蒔鉄造の元を訪れた。彼女は元GHQ将校から譲り受けた旧帝国陸軍高速研究機・川崎キ78"研三"の2号機である"研三改"の設計図を見せ、研三改新造の協力を仰ぐ。その折、氏の息子で元空自のイーグル・ドライバーである鉄也と出会った。

過去に僚機のパイロットを墜落死させやさぐれていた鉄也は、リズが見せたリノ・エアレースの映像に衝撃を受け、興味を示す。また戦時中の記憶から当初は乗り気でなかった鉄造もリズの持病を知り、願いを聞き入れる。こうして大田区の職人達とともに"研三改"の設計図を元に新造した"Fire bird II"が完成した。

当初リズは欽也の振る舞いに嫌悪感を抱き、パイロットとしての採用はためらっていたが、彼が"Fire bird II"を駆って彼女の命を救ったこと、伝説のパイロット・ダリル＝グリネマイヤーに鍛え上げられたこと、何より彼の仲間を思う気持ちやもう一度飛びたいという強い願いを感じ、正式にパイロットとして認める。

第2巻

予選ではエンジン不調にもかかわらず、無理な全開飛行をしエンジンブロー。不時着の際に機体が大きなダメージを受け、本選出場は不可能かと思われる事態が発生する。しかし、はるばる日本の大田区からやってきた鉄造の幼馴染・菊川三吉率いる太田区エンジニア集団の技術と職人根性により、たった一晩でエンジンの載せ換えから機体の修理・改良パーツの装着までを完了。まさに不死鳥の如く復活を遂げた。

リノ・エアレース　アンリミテッドクラス　ゴールドレース決勝。

王者となるのは、スキップの"赤い悪魔（Dago Red）"か、鉄也の"火の鳥（Fire bird II）"か。

銃撃の無い戦争（マツリ）が始まる！

登場人物

※実在人物の記述については原作内容に準拠しており、最新の情報とは異なる場合があります。（物語は2006年の設定）

荒蒔鉄也

本作の主人公。鉄造の息子で元航空自衛隊のイーグル・ドライバー。風の流れを目視できる能力を持ち、乱気流をかわすことが出来る。
事故で僚機とそのパイロット・柿崎を喪った責任を感じふさぎこんでいたが、リノ・エアレースを知って再び空に戻る事を決意し、半ば強引な手段で#27"ファイアバード"のパイロットになった。
ダリル＝グリネマイヤーからドリフト飛行を、ロン＝バッカレリから二重反転プロペラ機の扱い方を学び、著しい成長を遂げる。
連載時、年齢については特に触れられていなかったが、UW2によるとリズの9歳ほど年上である。

エリザベス＝ホワイトヘッド

本作のヒロインで通称リズ。金髪碧眼の美少女で#27"ファイアバード"のオーナー。UW2によれば連載当初は17歳。リノの女神とまで言われる。特にオヤジにウケが良く、皆から可愛がられるツンデレお嬢様。秘書のシルヴィアを連れている。
神経中枢が梗塞する持病のため、父親から見向きもされなくなり、唯一自分の居場所であったリノ・エアレースにのめり込むようになる。（#27"ファイアバード"は元々父親がオーナーを務めていた）1年でも長く生き、自分の生きた証をリノに残したいと考えている。
#4"ダゴレッド"打倒を悲願としているが、パイロットのスキップとは幼い頃から交流があった。愛情の裏返しかもしれない。
初対面の印象が最悪だった事から当初は鉄也を毛嫌いしていたが、デレ期以降は信頼を置いている。

荒蒔鉄造

旧帝国陸軍で航空機の開発を行っていたエンジニアで、現在は大田区で荒蒔工業（有）を経営している。
大戦中、高速を追い求めた研究機の開発が凍結され、代わりに特攻機の開発に携わった自分が許せず、終戦後は航空機の開発から縁を切っていた。
リズの病気を知って奮起し、大田区の職人達と共に"Fire bird II"を造りあげた。ジュラルミン材からプロペラブレードを一発叩き出しする腕前を持つ。
名前は「荒蒔鉄蔵」と書かれる事も。

荒蒔富貴子

鉄也の兄嫁で、夫は米国に単身赴任中。
荒蒔家の家事を一人で支えるマイペースなお姉さん。

菊川三吉

眼鏡がトレードマーク。飄々とした態度で鉄造の幼馴染み。
大戦時代から腕利きの機械職人で、複雑な構造を持つ誉エンジンの製造に携わっていた。"Fire bird II"の弱点であった主翼の強度不足を補う為、マグネシウム合金で主翼を鋳造。
レース本選前日に富貴子や大田区の職人らとともににリノに現れ、消沈するチームを一喝。再起不能と思われた"Fire bird II"を職人魂の下に一晩で生まれ変わらせた。

エドガー＝シュミード

#27"ファイアバード"のタクトを振るうチーフ・ディレクター（監督）。
集団を巧くまとめる能力に長けており、他人を乗せるのが上手い指揮者。

ルドルフ＝バーゼル

#27"ファイアバード"のエンジン整備担当。
"Fire bird II"の為ににチェコの倉庫に眠っていた高出力エンジン（DB 605）を奪取する。
アレクサンドルの冷蔵庫修理に触発されて、オーブンを1000℃対応に改造ようとした。

アレクサンドル＝カルトベリ

#27"ファイアバード"のチーフ・メカニック。
完璧を求め、冷蔵庫の修理ですら一切手を抜かない堅物。現実的で冷静な選択が多い。
"Fire bird II"が大破した際は、機体修理やエンジン交換が決勝に間に合わないと諦めかけるが、三吉に触発され意気を取り戻す。

ヘンドリック＝ジョンソン

#27"ファイアバード"のスポッター。（地上からレース全体を把握し、無線でパイロットをサポートする役割）
通称"ホーク・アイ"。飛行中のパイロットの睫毛の本数を数えられると豪語するほどの視力の持ち主。

ジゼル＝ピアッジオ

#27"ファイアバード"のメンバーの一人。リズのミッション・スクール時代の親友で、ドジっ娘修道女。
パソコン要らずの記憶力を持ち、膨大な数の部品の所在と状況を把握して随時対応できる。

マリア＝カラス

#7"ストレガ"の女性パイロット。実在するパイロットのビル"タイガー"ディステファニーの愛弟子。タイガーからは娘と呼ばれている。
パイロンに10cmまで近づけると言われるほどの空間把握能力を持っている。
#27"ファイアバード"やリズを目の敵にするが、なんだかんだでリズを気にかけており、猫耳と尻尾を装着したリズを嬉々として撮影していた。
「V&W　Co.Ltd～航空機再生株式会社～」では主役を務めている。作者曰く、「リズとは容姿・性格ともに対になる人物」
使用するP-51の改造機"St rega"（魔女）は"Dago Red"の姉妹機と言われ、レーシングマスタングの究極形に近い。

ゲルハルト＝ギャラン

#190"ワイルドシュライク"のパイロットで、通称"マッド"ギャラン。ジャスピオンとは違う。粗っぽい性格だが実力者でもある。
目をつけていたエンジンをルドルフに奪われた事から#27"ファイアバード"を敵視している。
機首に発生する乱流を排気ガスで加速し後方に打ち出す噴流弾丸（エグゾースト・ブリット）を装備した"Wild-Shr ike"を駆って"Fire bird　II"を苦しめた。
使用機体の"Wild-Shr ike"（野生のモズ）はFw190D9に最大出力4000馬力のR-3350エンジンを搭載したもの。紺地にドクロのデザインは作者自身が気に入らなかったのか、UW2では後日談と共に黒地に金のストライプでモズをあしらったものに変更された。

ロン＝バッカレリ

実在の人物で、#38"プレシャスメタル"のパイロット。リノで唯一の二重反転プロペラ機"Precious Metal"を駆るコントラマスター。
決勝のブロンズレースで、愛機と同じ二重反転の"Fire bird II"を駆る鉄也と戦い、二重反転プロペラ機の特性を活かした飛行を伝授した。
"Precious Metal"はP-51にグリフォンエンジン、及びアブロ・シャクルトン哨戒機の動力伝達系を流用、搭載したもの。機体は大がかりな改造が施され、他のP-51よりも一回り大きく見える。

スキップ＝ホルム

実在の人物で、#4"ダゴレッド"のパイロット。通称「孤高のガンマン」「優勝請負人」。
空軍時代はパイロットとしてベトナム戦争に参加、退役後はロッキード・スカンクワークスのテストパイロットとしてF-117等の開発に携わった。様々な機体を乗りこなす。
エアレースは1984年のデビュー戦でいきなりの優勝。2000年代前半は他を寄せ付けない速さで4勝を挙げた。名実ともに王者で、最大の壁として欽也達の前に立ちはだかる。
真っ赤な機体が目を引くP-51 改造機"Dago Red"（イタリア人の蔑称の意）はスキップとともに数多くの記録をもつ。