イドロとは、「Z.O.E 2167IDOLO」及び「Z.O.E Dolores,i」に登場する架空の機動兵器である。
パイロット(フレームランナー)はラダム・レヴァンズ少尉(CV:子安武人)。
あなたは選ばれた魔法使いね
全高:約16.5m
重量 :約82t
(Blu-ray・設定資料より)
A.D.2167年に完成したオービタルフレーム試作一号機。責任者はレイチェル・リンクス博士(ドクター・リンクス)。
イドロとは偶像を意味する「アイドル(idol)」の名前から来ている。
文字通り、火星にとって偶像的な存在として火星バフラム軍の高官たちの目に焼きつけた。
オービタルフレームの性能を遺憾なく発揮させた最初の機体であり、その後のこの世界に決して少なくない悲劇へと導いていく始まりの機体。
当時のLEVやナムスといった機動兵器をまったく寄せつけない、圧倒的な攻撃力・防御力・機動力を持つ。
開発スタッフであり、フレームランナーのラダムの恋人・ドロレスが「まるで魔法みたいな性能」と口にするほど。
しかし、試作機ということもあってか、その装甲は一次装甲しか持たないと設定画に描き込まれている。
後継機のドロレスはLEVのマシンガンが直撃したくらいではビクともしないが、劇中のイドロはマシンガンの直撃を受けていないため装甲がどうなっているか不明。結末からLEVのレーザー(ビーム)には耐えられないがわかっている。
(また、初期設定画によると当初は「プロトタイプ・ジェフティ」という名称であり、デザインもジェフティと非常によく似せられている)
額に「SYSTEM PROTOTYPE」と刻印がある。ダミーカメラ(ジェフティやドロレスなどのバイザー上部のカメラ)は存在しない。右腕にブレード、左腕に円形の盾(フィールド発生器)、背部の一対の翼と両脹脛には水晶状の推進器を備える。弾薬庫としてのベクタートラップも使用可能。支援AIは非搭載。
稼動テストを重ねるごとにラダムの精神と同調を始め、ピーク時にはラダムの緊張が一切なくなり(戦いを楽しみ)、機体フレームの素粒子構造が安定するという奇妙なデータが残されている。さらに他の搭乗者の操縦を受けつけずにコントローラーから弾くという現象まで引き起こしている。
公開演習ではラダムの狂気が表面化し、狂喜の中で敵対象機を殲滅した。
この機体は後述の「ダイモス事件」において暴走後に大破、バフラム軍の手で残骸はすべて回収されている。
フレームランナーのラダム・レヴァンズ少尉は死亡と発表。
残骸にはコクピット内で息を引き取ったドロレス・ヘイズの人格データが転写されており、後継機として残骸を利用して建造されたドロレス・ハトールにも受け継がれている……。
A.D.2173・9月、イドロから生まれ、残された2機が巡り合う。
兵装
- ブレード(Blu-ray・ブックレットではソード)
地球・火星の相応で使用されるLEVを一瞬で斬り裂く『刃/剣(ブレード)』。
通常は右腕に小型化されて折り畳まれているが、使用時に前方へ倒れ、ガンユニットと合体して大型化(変形)する。
後のジェフティやドロレスではこの形状を「パドル(オール/櫂)」に喩え、「パドルブレード」「スマッシュパドル」といった名称がつけられている。
イドロの機動性と相まって、横の回転斬りでLEV3機を連続で斬り倒すなど恐ろしい武器と化している。
直系の後継機であるドロレスやハトールは下椀部全体が大型剣へと変形する内蔵方式となっている一方で、ジェフティはイドロと同じタイプでブレードのサイズも固定状態である。
また、後の世では量産型など機種によって様々なタイプのブレードが誕生している。 - ショット
右腕に備える速射・連射性の高い射撃武器。エネルギー弾を高速連射する。
出力としてはナムスを撃墜する、LEVの装甲を破壊できる程度の威力はある。
これらのものはゲームでは「V.G.カノン」という名称が用いられ、様々なバリエーションが誕生する。
後継機のドロレスは下腕部そのものが、強力なエネルギー弾を放つガンユニットへ変形する。
(兵装名はBlu-rayのブックレットで「アームショット」と記載されrている)
ジェフティはイドロのものに非常に近いが、やはり武装の中では使いどころが牽制がせいぜいといった低威力兵装。「ANUBIS」のジェフティでは、出力の調整(ボタンの押し加減で。連射も)高速低威力・低速高威力のエネルギー弾が発射できる。 - ネイルガン(名称はBlu-ray・Dolores,iのブックレットより)
両手指の爪に当たるパーツからエネルギー弾を発射する。
指ごとに個別に発射して連射するが、後継機のドロレスでは一斉射撃も行っている。
牽制や軽装甲目標の破壊を目的とした装備だと思われる。(ガンダムでいう所のバルカン) - ホーミングレーザー
両掌から一度に複数の目標を追尾するレーザーを照射して攻撃する。数十機のナムスやミサイルを迎撃した他、少数のLEVを同時に破壊した。後のジェフティでは「ホーミングランス」という名称が与えられている。
後の「ANUBIS」のジェフティは最大マルチロックで、ナムス相手に最大48HITという数字を叩き出している。
48HITイコールで48本のレーザーが放たれているか確認は難しいが、それでもレーザーの本数は非常に多く、しかも高速かつ追尾性も高い。
イドロは劇中、迎撃ミサイルを片っ端から撃ち落としてもいる他、ジェフティにもこうした誘導兵器などの迎撃が可能なため、予めこうした運用が想定されていた可能性がある。 - バーストショット
開発者であるレイチェルさえ存在を知らなかった武装。
大型のエネルギー弾を掌に形成して、着弾後に炸裂する。一撃で広範囲を高熱で焼き払う。
岩塊であり、要塞ともいえるダイモス・ステーションの外壁を破壊するほど。
その際の爆発は、ダイモス全体を見渡せる遠方からも確認できるほどの大規模爆発だった。
多数のLEVやナムスがこの一撃で葬られている。 - ハンドランチャー
劇中、水中で試射されたエネルギー兵器。名称は初回限定版のアニメ設定画から。
背部のベクタートラップによる圧縮空間に2基が収納されていた。
水中であるにも関わらず、減衰している様子が見られない高出力砲。
異常とされるオービタルフレーム・イドロのジェネレーター出力ならではといえる。
後継機のドロレス用のものも存在するが、こちらはエネルギー弾を高速連射している(サブウェポンのファランクスという説もある)。
【ダイモス事件】俺はようやく、本当の魔法の使い方を見つけたんだ……
「ドリーと結婚式を挙げるんだ」
A.D.2167年。国連軍の特殊部隊がオービタルフレーム・イドロの強奪と開発責任者のドクター・リンクス誘拐を目論み、イドロの奪取に失敗するものの、ドクター・リンクスと助手であるドロレスが攫われてしまう。
恋人であるドロレスを救出すべく、イドロで追撃したラダムは「ダイモスステーション」駐屯軍を大部隊を突破して、外壁を「バーストショット」で破壊(迎撃部隊も消滅)。内部の国連軍と交戦して壊滅させる。
しかし、国連軍へ情報リークしていた内通者により目の前でドロレスが射殺されてしまう。この際にドロレスを救助しようとして機体がシャトルへ衝突し、内通者は死亡。ドクター・リンクスはこの後、行方不明。(以下、ネタバレ注意)
その後、イドロが駐屯軍の攻撃に晒される中、ラダムはドロレスの亡骸を抱いて呼びかけ続けるだけだった。
一際高くドロレスの名前を叫んだとき、イドロが呼応。ドロレス救出の際からラダムの手足のように動くようになっていたイドロが活性化。ドロレスの手が操縦桿に触れられており、そこからエネルギーラインが流れ、コクピットが淡い光に満たされていく。
ラダムの頬に、誰かが手を触れる。生者と死者しかいない空間で、ラダムに触れる者がいる。
『ラダム』
「ドリー……」
ラダムが生前のドロレスと約束した結婚式が電脳世界で行われる。
ラダムとドロレスが口づけを交わし【イドロが盾を展開して外壁を再び破壊し、外部の駐屯部隊へ向かう】
無人の式場に喝采が響き、【イドロにLEVの銃撃が浴びせられ】
ドロレスを抱き上げ赤いバージンロードを進むラダムの前に、【次々と敵機を破壊していくイドロ】
ヴァイオラが立ち塞がった。【バフラムの追撃部隊の砲火を浴び、背中の翼と盾ごと左腕を喪失】
ラダム「ご覧、ドロレス。ヴァイオラが来てくれたよ」
ラダム「これから僕たちはハネムーンに行くんだ。表にはイドロが待っている」
ラダム「…………」
ヴァイオラ「生体反応は一つしかないんです。あなたは幻を見ているんです」
ラダム「……『お前』は誰だ!なぜ僕たちの邪魔をする?君には聞こえないのかい?」
「僕を導く、ドロレスの声が……」【ドロレスの動きと連動してイドロがバーストショットを構える】
二人は互いに顔を合わせて微笑み、
ヴァイオラがラダムの名前を叫んだ直後、LEV隊の集中砲火がイドロに浴びせられる。
イドロは四肢を欠損していき、【ラダムが崩れ折れ、】
コクピットを熱線が掠め、【ドロレスとの思い出が走馬灯のように掠め】
イドロが咆哮して、頭部が砕けた。
ラダムは電脳世界でドロレスを抱き締めて床に倒れ伏し、イドロは大破してフレームのみが残った。
オービタルフレームの存在が公になり、国連軍は対オービタルフレーム用の新型LEVの開発を、バフラム軍はオービタルフレームの量産・新機種の開発計画が進行していく。
ラダム・レヴァンズ少尉は死亡したと記録に残されているが、その後も生き残り、再起を図っていると兵士たちの間では噂されている。回収されたイドロの残骸の一部は、軌道エレベーター侵攻作戦の要である「イシス」の素材へ。
この事件でオービタルフレームのフレームランナーへの影響が懸念された結果、通常のメタトロンコンピューターに加え、AIが搭載されたといわれている。
「ANUBIS Z.O.E」コナミ限定版のブックレット上では「イドロ(機体)がパイロットの精神安定のために幻を見せた」と解説されているが、公式の設定であるかは不明。(限りなく近いもの、あるいは解答の一つではあると思われる)
作中、ラダムは演習後の出来事を経て自身の変化に対して自覚。
そのときのドロレスへの告白から、メタトロンが一種の「欲望の増大」や「自己肯定」させるような作用をもたらす(前述のようにパイロットの精神高揚、安定化による機体保護)のではないかという説もある。
関連動画
関連項目
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