- 欧米圏における姓の一つ。ドイツのオッペンハイム市にちなむ。
- マンハッタン計画を主導し、「原爆の父」と呼ばれるアメリカの物理学者、J・ロバート・オッペンハイマー(J. Robert Oppenheimer、生1904年4月22日~没1967年2月18日)。
- 2の人物を主人公とした小説を原作とした、2023年公開のアメリカの伝記サスペンス映画。日本公開日は2024年3月29日。監督はクリストファー・ノーラン。本記事で記述。
概要
ワーナー・ブラザーズとの契約を解消し、新たにユニバーサル・ピクチャーズ配給で送るクリストファー・ノーラン監督最新作。「原爆の父」と称されるオッペンハイマーが核開発に携わっていく過程、そして核実験成功後の苦悩と懺悔をスリラータッチで描く。
主人公ロバート・オッペンハイマーを演じるのはノーラン作品常連のキリアン・マーフィー。ロバートの妻キャサリンにはエミリー・ブラント、米陸軍のレズリー・グローブスはマット・デイモン。
他、ロバート・ダウニー・JR、フローレンス・ピュー、ケネス・ブラナー、デイン・デハーン、ゲイリー・オールドマン等メインからサブまで豪華キャストが出演する。
映像におけるカラーパートは主人公オッペンハイマーの主観を通して見た物事で、モノクロパートは客観的なストーリーを扱う。
またノーラン作品では「インソムニア」以来のレーティング指定17+作品である(性的な描写、ヌード表現があるため17歳以上の鑑賞は注意が必要)。
第96回アカデミー賞では大本命とされ13部門でノミネート。本番では作品賞、監督賞、主演/助演男優賞、撮影賞、編集賞、作曲賞の7部門を受賞した。特に監督賞はノーランが『ダークナイト』で獲れなかったオスカーを遂に奪取、という点で大きな注目を集めた。
バーベンハイマー問題
アメリカではバービー人形をモチーフにしたコメディ映画「バービー」と本作が同日公開だったことから、「バーベンハイマー」と呼ばれるコラージュ(二次創作)が流行った。
おまけにバービーのトレードカラーのピンク色のキノコ雲の画像が多数描かれた。当然、被爆国の日本人からしたら悪趣味極まりなく、この時点で「原爆についてアメリカ人の多くがまだこういう認識しか持ってないのは悲しいわ」、「やっぱり戦勝国は考えることが違うな」、「あんたら911を俺たちがネタにしていいってことなのか?」との批判意見が多数を占めていた。そこまでならネットユーザー間での盛り上がりで済んだが、極めつけは「米・バービー」の公式X(旧:Twitter)アカウントがその画像をリツイートしたことからそこが爆心地となり日本で大炎上した。
当然運動家も黙ってなく、様々な組織・組合が苦言を申し、あろうことかバーベンハイマーの1件について沈黙を貫いたオッペンハイマー公式にまで飛び火することとなった。映画会社が異なる一方が巻き添えを食らうという風評被害もいいところである。
また、クリス・ノーラン監督は本作をバービーと同日公開したことに憤りをあらわにしたとの映画関係者の目撃証言が出ており、元々の配給元の予定であったワーナーが、バービーをオッペンハイマーの公開日に当て付け気味に合わせるような、これらの関連性が薄い映画同士を結び付けるようなマーケティングを向こう側が取ったことはノーランとしても面白くなかった事が窺える(※リンク記事はコラージュに関する言及ではないので注意)。
概要にも書いた通り、本作はオッペンハイマーが結果的に原爆開発に成功したがその破壊力と影響を懸念し、開発したことを後悔し、原爆の使用について制限を設けるために運動を行う伝記映画である。
日本での公開について
米ユニバーサル・ピクチャーズは公開の1年前から予告編のアップロードを続けていた一方で、題材が題材なだけに日本では公式和訳の予告編や公開についてのアナウンスは発表されなかった。そして7月21日、遂には日本公開についての発表すらされずにアメリカで本作が公開。
上記バーベンハイマーで相乗効果を図っているマーケティングであったが、結局バービーのみが先行することとなり、米国のニュース系WEBサイトでも「異例の出来事」と囁かれている。
「日本では公開はおろかこのままだとローカライズすらされないのではないか」、「アメリカ映画が数ヶ月遅れて日本でも公開されるのはよくあること」等様々な意見が飛び交っている。
その後ユニバーサル・ピクチャーズの元ネット配信が先行して公開され、いわゆるビデオスルー状態で全世界で視聴可能になった。当初配給を予定していた東宝東和には決定権がなく、同年12月にビターズエンドが代わって2024年に日本で配給することが発表された。
関連項目
- 映画
- 映画の一覧
- クリストファー・ノーラン
- J・ロバート・オッペンハイマー
- バービー
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