ダイナマイトバットマン単語

14件
ダイナマイトバットマン
5.8千文字の記事
  • 11
  • 0pt
掲示板へ

ダイナマイトバットマンは、サンソフトから1991年よりファミリーコンピュータをはじめとするマルチラットフォームで発売されたアクションゲームソフト

同社から1989年より発売されていたゲームバットマン(外: Batman: The Video Game」の続編にあたり、その映画に基づいて作られた世界観を引き継ぎつつ、コミックスの絵柄で更に独自の物語を展開した作品群となっている。

上記の名称は日本ファミリーコンピュータ(以下ファミコン版)における邦題であり、他の圏域及びソフトでは「Batman: Return of the Joker」という題で発売された。そのため本項ではこれらについて同列として扱うほか、リメイク作とされているタイトルBatman: Revenge of the Joker」の展開も取り上げる。

概要

ソフトワーナー・ブラザース配給映画原作とする版権ゲーム開発をいくつか担っていた。うち発売に至ったものには「バットマン[1989]」「グレムリン2 ―新・種・誕・生―[1990]」があり、開発していたが発売中止になったものでは「ターミネーター[1]」、「スーパーマン[2]」の存在が知られている。それまで、ヒーロー系の版権ゲームには評判の良いものは少なかったが、これらのソフトによってサンソフトそれなりの定評を得ていた。中でもその端緒となった「バットマン」はに北アクショングラフィックサウンドなど全般において非常な好評を博して1990年までに50万本を売り上げており、続編の本作が制作されたのはその流れがあったものと思われる

本作はリメイクを含め3ハードマルチラットフォームで展開された(4ハードで展開された前作と較すると少ないものの)。日本及び北におけるファミコン版が1991年12月20日に、ゲームボーイ版が1992年3月28日に発売となり、更に北限定でRingler Studios開発メガドライブ版が1992年に発売されたという流れである。また、実はある程度完成していたものの発売には至ることのなかった、ICOSimulations社開発によるスーパーファミコン版が存在しており、これはソフトの基盤が発見されたことで白日の下にされた。

※……前作のネタバレを含む。押すと展開

その前作のエンディングでは、バットマンジョーカーを高層の建物最上階から振り落としてしまうという衝撃的な描写がなされた。「バットマンジョーカーを殺した」かのような……というかそうとしか思えない描写で、原作では万が一にもな限りなく可性の低い展開である。そのため、推測の域は出ないが、新作でジョーカー復活させることでこれを収拾しようとした……ということも考えられるのではないだろうか。


さて、とりわけファミコン版は熟成期のサンソフトの技術のが結集した一つといえ、大ヒットを遂げた前作には及ばないながらも後年まで非常に高い評価を受け続けている。

「Batman: Return of the Joker」として邦題が英題と同じであるゲームボーイ版は内容が大きく異なり、ファミコン版とは別物であるが、各種ゲーム関連書籍のレビューでは多くの高得点を得ている。

メガドライブ版及び未発売スーパーファミコン版はファミコン版のリメイクの位置付けであるためか英題が「BatmanRevenge of the Joker」と変更されているが、内容は概ねファミコン版に準じつつ、アレンジが加えられたものとなっている。

ただし、それぞれ微妙に差異はあるものの、根本的なストーリー世界観設定については、それら全版において共通する。ゲーム中ではごく一部にデモが流れる一方で、意味のあるセリフテキストはほとんど表示されないが、説明書には簡単なあらすじが載っているので、プレイヤーはそれらを総合して雰囲気でストーリーを追っていくこととなる。

一部要約をして紹介すると、日本語版の説明書には「ジョーカーはゴッサム・シティを理想の犯罪都市とするための最終兵器完成しつつあった。その野望を打ち砕くべく、バットマン開発していた“スーパーウェポン”を提げて基地のあるという「ハ・ハ・シエンダ[3]」を単身していく……」というようなことが書いてある。

英語版ではより詳しく、「ゴッサム・シティの鉱山から金属が失われているという。失われた物の中にはミサイル爆薬に用いる極めて有金属もあった。事態を重く見たゴッサム警察は、バットマンに助める。この事件には見え透いていた、裏に復活したジョーカーが。手遅れになる前に、ジョーカーアジトを見つけ出し、“ジョーカー復活Return of the Joker”を阻止しなくてはならない……」といった内容が書かれている。この二つの版は微妙に異なりそうな感じもするが、触れている部分の異なるだけで筋は矛盾していないし、そもそもゲーム内容自体の差は両版において特にない。


余談として、同時期のバットマンゲームソフトとしてセガ及びコナミから「Batman Returns」というものも発売されている。「Batman: Return of the Joker」とどちらも復活している為しばしば混同されるが、異なるソフトなので注意しよう。復活している人が違う。

ファミコン(NES)版

の野望をうちくだけ!!

――パッケージ裏より

一にリリースされたソフトながら、おそらく関連ソフトの中で最も知られる作品。1991年12月20日日本と北で同時発売され、欧州では少し遅れて1992年11月19日に発売となった。同系列の他ソフトは英題に沿っているので、実はダイナマイトバットマンとして発売されたものは本作が一である。

※※※※※ pikopod powered by イルカイダー ※※※※※

ストーリーは前作「バットマン」から連続しているが、徒手拳で戦うスタイルの「プラットフォーム」アクションゲームだった前作に対して、本作は「ラン・アンド・ガン」アクションゲームとして制作されている。ステージ上に配置されたオブジェクトからアイテムを入手することで数種の武器を切り替え、敵や障害物を排除しながらステージ攻略していくのである。

前作時のゲームボーイ版が武器を用いるスタイルを採用しており、このシステムはそれが原となっている可性がある。
撃ち出される物は「ロックマン」の放つロックバスターのようなエネルギー弾ではあるが、堅不殺義であるバットマン的な武器を扱うことになったという点はファンの間では賛否両論となっている。しかしそれを加味しても、ゲームとしての評価は好意見が概ね多数。

サンソフトファミコンソフトは後期になるにつれ高い技術を有したが、その例に漏れない非常に高い完成度を誇る作品であり、ファミコンアクションゲームとしてはしいほど大きめに描写されたキャラクターがまずに入る。近年ではヨットクラブゲームズのニックウォズニアクが本作を「NESグラフィックで“爆撃”した」と評してお気に入りのゲームスプライトの一つに挙げている。

他にも細かい描き込みや滑らかなアニメーション立つが、それもそのはず、このソフトでは3メガバイト容量の3分の2をグラフィックに費やしているらしい。
他にも縦横尽の多重スクロールDPCMを活かした迫サウンドなど高い技術が随所にり、ステージもボリュームたっぷりな18ステージを誇る。

作曲は前作から引き続き当時サンソフト所属の小高直樹が手がけ、瀬谷、原伸幸がサウンドプログラムを務めた。その重厚なサウンドには他の多くの後期サンソフトファミコンソフトと同じようにいわゆる拡は使用されておらず、本体機のみによって演奏が実現されているため、拡の搭載できないNESにおいても同等の並外れたサウンド提供できていた。

そういった内容は高く評価されているのに対し、スーパーファミコン発売以後であるファミコン晩期のソフトであったため流通量は僅少である。版権ゲームであるために再配信も見込めないことなどから、プレミアソフトとして中古品が高値で取引されている。

ゲームボーイ版

ョーカー死んではいなかった!!

――パッケージ裏より

本・北欧州全てで1992年発売となったのがゲームボーイ版「バットマンリターンオブ・ザ・ジョーカー」である。タイトルストーリーは他の版と共有されているが、ファミコンメガドライブ版と異なり、徒手拳でワイヤーアクションを繰り広げる「プラットフォーム」アクションゲームとなった。

ゲームボーイ版は前作時に「ラン・アンド・ガン」スタイルだったので、ファミコン版との変更といえる。

全4ステージとボリュームは少なめだが、最初の3ステージステージセレクト方式となっており、好きな順番で進められるようになっている。更にノーマルハード難易度選択ができ、後者ステージ・敵共に強化された、ゲームボーイアクションゲームの中でも屈の難度である。

ハード同様、大きなキャラクターが滑らかにアニメーションするなどの高い技術・表現は健在。ジャンプ壁キック)などのアクションなどは前作ファミコン版のそれとまさに同様のものが再現された。

サウンドプログラムについても、ドラムベース音を使うなどの音圧を高める技術が活かされたものとなっている。楽曲は前作・他作と異なり松前真奈美が担当しており、新たに書き下ろされたものである(この頃の松前サンソフトの多くのゲームプロジェクトアサインされていた)。

メガドライブ(セガジェネシス)版

GOTHAM CITIS NOT BIG ENOUGH 
FOR BOTOF THEM.

――雑誌掲載の広告より[4]

において1992年に発売されたもので、他地域での展開がなされなかったソフト。「Batman: Revenge of the Joker」という題名になっており、リメイク作として前述の2作とは区別されているようだ。

基本的にはファミコン版の移植であり、Ringler Studios社という他社によって開発されている。ハードの性向上によるパワーアップで、より世界観に入できること請け合いの仕上がりである。

見掛け上はファミコン版の内容に準じたリメイクとなっているが、一部の構成、敵の倒し方や耐久値などに変更がありファミコン版通りとはいかない。特に、メガドライブの一つ増えたボタンを活かすべく追加された「キック」のアクションシステムを少し複雑にしており、キックでしか倒せない敵の居ることが分かりづらい場合があるなどの点で一部ユーザーからネガティブもある。難易度に関してファミコン版ほど十分な調整がされたものとは言い難いが、基本的には色彩豊かなグラフィックFM音源サウンドなどを含めそれなりに正当な進化を遂げたものとはいえるだろう。

BGM小高によるファミコン版のトラックベースに、トミータラリコ編曲を加えている。重厚なサウンド感はFM音源においても健在。

スーパーファミコン(SNES)版

発売だが、なぜかプロトタイプの基盤が発見されており、このことから情報が出回っている。スーパーファミコンにおけるリメイク作で、ICOSimulations社開発。楽曲やストーリーの大筋は変わらないが、メガドライブ版以上にステージ構成や敵などに対し変更がなされていた。

一例を挙げると、ファミコン版・メガドライブ版では背中ジェット装置を装着して自ら飛んでいたシーンが、飛ぶ乗り物に乗り込むというものに変更されている。また、エンディング演出に更にシーンが追加されており、ジョーカーの再復活が示唆されるものとなっている。他にもファミコン版やメガドライブ版になかった独自のステージが多数変更追加されており、ボリュームアップしていたようだ。

しかし、発見されたものは未完成であるためなのか、ステージゲーム性など設計調整の不十分さが摘されている。あるいは、これが発売中止となった原因なのかもしれない。

BGMもまたメガドライブ版と同様に小高のものを元としており、コモドール64Amigaなどでの仕事が知られる作曲デヴィッド・ウィテカー編曲を手がけていた。

関連動画

Thankto Batmanthe goocitizens of Gotham Citcan sleep peacefully, knowing that the Joker is now locked awawhere he can never work his evil again...
...or is he???

――未発売となったSNES版のエンディングより[5]

ニワンゴ(大百科グランプリver.) この記事は、大百科グランプリシーズン大会「シーズン2022上半期8月」において優秀賞記事に認定されました!
さらなる編集を行ってよりハイクオリティな記事をしましょう!

脚注

  1. *軸に置かれるキャラクターなどの方針で版権側と伝達の齬がありに。のちにキャラクターなどを変更してラフワールドとして1990年に発売された
  2. *バットマンが好評だった為に話が持ち上がったが、内容に齬がありに。キャラクターなどを変更してSunmanとして再開発されたが未発売である
  3. *「ハ・ハ・シエンダ」は原作に登場しないオリジナルの地名である。マンチスターにかつて存在したクラブ「ハシエンダ」とジョーカーの笑いを掛けた落であろうか。
  4. *編者意訳:
    この二人にとって、ゴッサムティは小さすぎる。
  5. *編者意訳:
    バットマンの活躍で、ゴッサムティの善良なる市民は安心して眠りにつくことができる。
    なぜならジョーカーは、もう二度と悪事を働けない場所に閉じ込められたのだから……。
    ……本当にそうだろうか???

【スポンサーリンク】

  • 11
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

biim兄貴リスペクト (単) 記事と一緒に動画もおすすめ!
提供: Benjamin
もっと見る

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ダイナマイトバットマン

1 ななしのよっしん
2022/08/03(水) 23:58:36 ID: eP8ncPHSEB
愛しか感じない記事に脱帽
後期サンソフトの良い所が詰まったゲームだよな
👍
高評価
0
👎
低評価
0
2 ななしのよっしん
2022/08/04(木) 00:00:41 ID: yBsY8ISlRd
ジョーカーとかいうコミックで「バットマンお前に捕まえられるために脱獄したんだ!」って告白をした男だからなぁ・・・
👍
高評価
0
👎
低評価
0
3 ななしのよっしん
2022/08/19(金) 14:58:11 ID: mVWucu7VXb
ラフワールドでもやっていたベースメロディを重ねるやつに味を占めているのがわかる一曲
いいぞもっとやれ

版権ゲーであるコレとかは多分望み薄ですがサンソフト復活まことにめでたいもので

タイトル:ダイナマイトバットマン STAGE1&6

twitterで紹介する