バックスペース(backspace, Backspace, BackSpace)とは、コンピューターなどのキーボードに存在するキーの一つである。また、「バックスペースキーを押すこと」を意味する動詞にもなっている。
現在では主に、「入力した内容を1文字分取り消す」ことや、ウェブブラウザソフトなどで「1ページ戻る」機能などに使われるキーである。
概要
元々はタイプライターのキーで、その名のとおり「一文字分の間隔(space)を逆行する(back)」するためのキーだった。打った内容が消されるということはなく、位置が移動するだけである。そのため、ある文字・記号の上に別の文字・記号を重ねるために主に使用されていた。例えばYのキーを打ってからバックスペースキーを打ち、それから=のキーを打つと、Yの上に=が重ね打ちされて¥のマークになった。
コンピューターが普及し始めてもキーボードはタイプライターの配列が継承され、バックスペースキーも受け継がれた。だがコンピューターではタイプライターの印字対象であった紙と違って入力した内容を消すことができるため、バックスペースキーは「カーソルの1つ前にある文字・記号を消しつつ、カーソルをその1文字分戻す」という機能を受け持つようになった。それに伴い、単純にカーソル位置を移動させる役割は矢印キーが代わりに担うことになった。
なお、Apple社のMacintoshではキーボードに「バックスペース」キーはなく、「Delete」キーにバックスペースと同様の機能を持たせている。
ウェブブラウザでの「戻る」機能
多くのウェブブラウザソフトでは、バックスペースにショートカットキーとして「1ページ戻る」機能も割り振っている。
この仕様はキーひとつでページを戻ることができるため非常に便利ではあるのだが、時には少なくない利用者たちに舌打ちや呻き声、唸り声……時には悲鳴をもあげさせてきた。
ブログ・SNS・Wiki・ウェブ百科事典サイトなどを利用する際には、ブラウザ上で何らかの長めのテキストを入力する場合もある。その文章を打っている最中に、何らかの手違いでテキストフォーム外をクリックしてしまうなどでフォーカス(操作対象)が「テキストフォーム」から「ページ全体」に移ってしまうことがある。
そしてそのことに気づかないまま、入力した文字を削ろうとしてバックスペースキーを押してしまうと……「1ページ戻る」機能が発動してしまい、ページが遷移してしまう。
慌てて「1ページ進む」機能を用いれば何事もなかったかのようにテキストがそのまま保持されていることもあるが、悲惨なことに入力内容が消えてしまっていることもある。入力に費やした時間にもよるが、長時間かけて入力した内容が保存する間もなく消えたような場合の精神的ダメージは少なくない。
Google Chromeでの「戻る」機能削除
人民を常に見守るビッグ・ブラザーたるGoogle社はこのような誤入力で悩む民を憐れみ、同社のウェブブラウザ「Google Chrome」の2016年にリリースされたバージョン52から、バックスペースで「戻る」機能を削除したもうた。
民衆の庇護者Googleの恩情により、たとえ愚かな市民であっても、誤ってバックスペースキーによって入力内容を失うようなミスをすることは無くなったのである。
さらに聖なるGoogleは、因習に縛られてChrome使用中に「バックスペース」を押した者に対し、寛大にも「[Alt]+[←]キーを押して戻る」というアドバイスまでも表示してくれる。
なおGoogle様の配慮を無にするような者は居ようはずもないという考えなのか、「バックスペースキーで戻る」ことを復活させるような設定機能はChromeバージョン52には用意されていない。
しかし、どうしても父なるGoogleに抗いたいというやんちゃなあなたは、「Back To Back」などの拡張機能を導入することで「バックスペースキーで戻る」機能を復活させることができる。
「[Alt]+[←]ですって?なんで「戻る」ごときにキー2つ使わないといけないんですか」
「間違って戻ったことなんてこれまで一度たりともありませんが」
といったような不満の声を挙げる人も決して少なくないようなのだが、なぜ設定機能を設けないのだろうか……。
他のブラウザでの「戻る」機能削除
上記のように「戻る」機能を一律に無くしてしまうと不便・不満を感じる人も少なくないようではあるが、誤って戻ってしまうことを防ぐためには無効化も決して悪い選択肢ではない。自分でそれを選べるならば。
Chrome以外のウェブブラウザソフト、例えばFirefoxやOperaなどでは設定変更で「バックスペースキーで戻る」機能を無効化する方法があるようなので、各自調べて自己責任で導入してみてもよいかもしれない。
関連項目
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