ヒヒイロカネとは、古代日本に存在していたとされる幻の金属である。文献によっては緋々色金、日緋色金、ヒヒイロガネと表記される事もある。
概要
太古の日本に存在していたという金属もしくは合金。天皇家に伝わる三種の神器にもヒヒイロカネが使われているらしいが、詳細は不明。既に精錬方法や現物は失われており、幻の存在である。よくオリハルコンと同一視される事があるが、これは1979年に発刊された佐治芳彦氏著書「謎の竹内文書」にてオリハルコンと比較された事がきっかけで流布したのだという。
古事記や日本書紀よりも前に書かれ、3000億年前の記録が記された書物「竹内(たけのうち)文献」にて、その存在が記されている。竹内文書は皇祖皇大天津教の教祖である竹内巨麿が1928年に存在を明かした文書である。特徴として、
- 炎のゆらめきにも似た朱色を持つ
- 金よりも軽い
- 決して錆びない
- 通常では鉄よりも柔らかいが、合金するとプラチナより硬くなる
- 磁気を拒絶する
- 触ると冷たい
- 熱伝導の良さから、ヒヒイロカネ製の茶釜で湯を沸かすなら木の葉数枚で済む
が挙げられる。
竹内文書によれば陸奥国のカカノコ山(正確な位置は不明)から採掘できるとしている。採掘されたヒヒイロカネは三種の神器や皇居、装備などの製作に投じられた。古代の天皇が世界各国や外宇宙へ赴くのに使用した天之浮船(あまのうきふね)の材料にもなっている。一方、ヒヒイロカネは宇宙から来た神々が持ち込んだ地球外の物質という説もある。
昭和初期に活躍したオカルティスト酒井勝軍は「ヒヒイロカネの正体は岩手県から発掘された餅鉄(べいてつ。磁鉄鉱の塊)や隕鉄(いんてつ。隕石として宇宙から降ってきた鉱石)では?」と仮説を立てている。また彼はカカノコ山を岩手県釜石市西方にある五葉山と推測し、1938年5月22日にヒヒイロカネを発見したと主張している。戦前に科学者がヒヒイロカネを調査した結果、地球上のどの金属の製法とも異なる事が分かったため、隕鉄説も挙げられる。一方で実在しない架空の鉱石とする説もある。要するによく分からない。
オウム真理教の麻原彰晃尊師はヒヒイロカネに強く惹かれ、1985年6月に東北地方まで旅をしている。同年11月号のオカルト雑誌『ムー』にはその旅の一部始終が投稿された。釜石市の旅館で、先述の酒井と面識のある老人からヒヒイロカネ(とされる石)を大量に譲渡してもらい、イニシエーション(修行)に使われた。
日本では数少ない伝説の金属である事から和風ファンタジー作品で登場する機会が多く、総じて希少な鉱石扱いとなっている。ゆえにヒヒイロカネで作られた武器や防具は一級品の性能を持つ傾向にある。近年では和風物に限らず登場し、名前だけは知っている諸氏も多いだろう。
出典
実のところ、ヒヒイロカネが記された記録は竹内文書しか無い。この竹内文書は戦前に興った宗教「皇祖皇太神宮天津教」の経典だが、1936年に第一高等学校々長の狩野享吉に製作者や由来に偽りがある偽書だと証明されている。また竹内文書では天皇を持ち上げているものの主張がブッ飛んでいるため、逆に不敬罪と見なされて天津教は弾圧の対象となり、教祖の竹内巨麿は1942年まで投獄された。特別高等警察もまた竹内文書を調査し、偽書と判定。つまりヒヒイロカネは空想上の存在という可能性もありうる。
竹内文書の原本を始め、約4000点が裁判の証拠として検察に押収されたが、軍部にいた天津教の熱心な信者によって一部のヒヒイロカネ製神宝は靖国神社の遊就館に寄贈された。しかし、いずれも大東亜戦争末期の東京大空襲で焼失してしまったという。
竹内文書によると神武天皇以降の時代から急速に希少価値が上がり、雄略天皇の時代を最後にピタリとヒヒイロカネの精錬が終わってしまった。精錬技術が失われたからなのか、ヒヒイロカネそのものが無くなってしまったのかは不明。
創作作品への出演
仮面ライダーカブト
マスクドライダーもとい仮面ライダー達の装甲の素材である超金属。残念ながら加工前の描写などは無し。
最強フォームであるハイパーカブトはヒヒイロカネの2倍の強度を誇る未知の金属「ヒヒイロノオオガネ」も存在する。
グランブルーファンタジー
スマホゲーム『グランブルファンタジー』では、金の延べ棒のような形で登場。
最大の特徴は全アイテム中でも群を抜いて希少な点。主にSSR武器の上限解放、終末の神器の最終強化、十天衆の最終上限解放など高みを目指すには避けて通れない場面で使用する。このため多くの騎空士が目の色を変えてヒヒイロカネを渇望している。しかし課金では購入する事が出来ず、限られた入手経路はアルティメットバハムートHLの報酬(ごくまれ)、古戦場の勲章交換、四象降臨の交換くらいで、いずれも多大な労力と時間を要する。唯一アルバハHLのみ運が良ければすぐに手に入るため、アルバハHL狩りを行う上級者は多い。ちなみにアルバハHLで入手した場合、脱法ヒヒイロカネと呼ばれる。
運営も希少性を理解しているらしく、アニメDVDやゲームの特典に付けるという所謂特典商法を行っている。ヒヒイロカネ目当ての騎空士からは「ヒヒロイカネのおまけにゲームやアニメが付いてくる」と特典商法を痛罵言われている。ごくまれに運営から配布される事もある。
ドラゴンクエスト11
あの国民的RPGにも出演。本作でもヒヒイロカネは希少な鉱石であり、最強レベルの装備品を作成するのに必要となる。そして例に漏れず入手するのは難しい。
モンスターストライク
「硬結の邪鉱神」シリーズの最後を締めくくる闇属性モンスターとして実装。本作では鉱石ではなく、女性型。彼女のヒヒイロカネは紫色の水晶のように描写されている。敬語で喋る礼儀正しい性格だが、世界に脅威を与える悪しき邪鉱神。
アンチアビリティはマインスイーパーM/回復S、ゲージ成功でアンチダメージウォール/ダッシュが発動する。ステータスは攻撃力に全振りしていて、直接殴るだけでもダメージ源になるパワー系。その代償にスピードが低めに設定されているが、ダッシュの存在がその欠点をカバー。降臨モンスターの中でも高い汎用性を誇る。
関連動画
関連項目
- 鉱石
- グランブルーファンタジー
- ヒヒイロカネ(モンスト)(ヒヒイロカネをモチーフにしたモンスター)
- 斬鉄剣(ヒヒイロカネ製という設定)
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