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フェニトイン
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フェニトイン(Phenytoin)とは、抗てんかんである。販売名アレビアチン®ヒダントール®

概要

有機化合物
フェニトイン
フェニトイン
基本情報
英名 Phenytoin
略称 PHT
化学 C15H12N2O2
分子量 252.27
化合物テンプレート

フェニトインは、ヒダンイン系の抗てんかんである。てんかん(癲癇)は、大神経細胞に発生する過剰な放電によって発作をきたす慢性の神経疾患である。1908年にドイツ化学者Heinrich Biltzによって合成されたフェニトインは、1938年に抗けいれん作用が発見され、現在に至るまで世界でてんかんの治療に利用されている。

アレビアチン®大日本住友製薬株式会社より、ヒダントール®永製株式会社第一三共株式会社より製造販売されている。作用機序の異なる抗てんかんフェノバルビタールとの配合錠(複合アレビアチン®配合錠、ヒダントール®D配合錠など)もある。それぞれの販売名について、アレビアチン®は“Alleviate”(心身の痛みを緩和する)、ヒダントール®はフェニトインがヒダンイン誘導体であることに由来する。

フェニトインナトリウム注射液(アレビアチン®注)は注射剤(有機溶媒で可溶化された注射用製剤)であり、希釈すると溶解性が低下し結晶が析出することがある。また、pHが約12の基性注射剤であり、pHの低下によって結晶が析出するため、他剤と配合せず使用する。強基性・高浸透圧性であるため、静脈内にのみ投与し、皮下注射筋肉注射、動脈内注射はしない。

効能・効果

てんかんの強直間代発作(大発作)や部分発作(皮質焦点発作・精運動発作)の治療に経口投与、てんかん重積状態や内不能時に静脈内投与される。フェニトインは単剤投与可な第二選択であり、第一選択効の場合に用いる。

一方、欠発作(小発作)の誘発や増悪を招くことがあるため、その治療には用いられない。

用量・用量

成人にはフェニトイン200~300mg/dayを1日3回毎食後に分割して経口投与する児なら20~100mg/day、幼児なら50~200mg/day、学童期の小児なら100300mg/dayを、それぞれ1日3回毎食後に分割して経口投与する。症状や容性をみて適宜増減する。

注射剤(アレビアチン®注)の場合、成人にはフェニトインナトリウム125250mg(2.5~5mL)を50mg/min(1mL/min)をえない速度で緩徐に静脈内投与する。投与しても発作が抑制されない場合、30分後に100150mg(2~3mL)を追加投与するか、ほかの対処法を考慮する。小児用量は成人用量を基準として体重により判断する。

作用機序

フェニトインは神経のNa+チャネルを遮断し、細胞内へのNa+流入を阻することにより、脱分極を抑制して抗てんかん作用を示す。LCa2+チャネル遮断作用もある。

フェニトインには抗不整脈作用もあり、Vaughan-Williams分類におけるIb群に分類される抗不整脈であるが、本邦において不整脈の適応はない。

薬物動態

フェニトインは、血漿タンパク質アルブミンサイトI(ワルファリンサイト)に結合し、その血漿タンパク結合率は約90%と高い。また、物代謝酵素CYP2C9やCYP2C19によって不活性化されるが、この代謝は治療濃度域で飽和するためクリアランスが低下する。このような理由により、フェニトインの治療濃度域における血中濃度は投与量に対して非線形性を示す。言い換えると、一定濃度をえると急に血中濃度が上昇し過量投与となりやすいため、慎重に用量を調節し、副作用発現の予測・回避を的としたTDM(治療モニタリング)を実施する。

有効とされる治療濃度域は10~20μg/mLだが、20μg/mL以上で眼振、30μg/mL以上で運動失調、40μg/mL以上で構音障害などの副作用があらわれる。治療濃度域での半減期は6~36時間であるため、5~7日間隔でトラフ値を測定し用量を調節する。患者は規則正しく内し、自己判断で用量を調節しないこと。

禁忌・副作用

過敏症の既往歴のある患者への投与は禁忌注射剤は洞性徐脈、高度の刺伝導障害の患者に対しても禁忌である。また、フェニトインは物代謝酵素CYPやP糖タンパク質などを誘導する作用を有する。一部の高血圧症治療、抗血小板C型肝炎治療、抗HIVは、フェニトインとの併用によってその血中濃度が低下するおそれがあるため併用禁忌である。併用にあたり注意が必要となる医薬品も多い。他科受診時は抗てんかん用中である旨を医師に伝え、販のOTC医薬品健康食品を利用する際は薬剤師に相談することが望ましい。

副作用として眼振、増殖運動失調、眠気、巨芽球性貧血、低カルシウム血症などがあらわれることがある。状態に応じて減量など適切な処置が行われるほか、視血液検査が実施されることもある。催奇形性があり、胎児の心奇形や口唇口蓋裂の頻度が上昇するため、妊婦には有益性が危険性(てんかん発作による胎児の障害死亡などのリスク)を上回ると判断される場合にのみ投与される。

同種同効薬

ホスフェニトインは、フェニトインのプロドラッグである。フェニトインと較して静脈炎や組織障害リスクが少なく、安全性が高い。ホスフェニトインナトリウム注射液(ホストイン®静注)は、てんかん重積状態の治療や、フェニトイン経口投与で治療中の患者の一時的な代替療法に使用される。

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