ブレインデッド(原題:Braindead)とは、1992年に公開されたニュージーランド映画である。いわゆるゾンビもの。上映時間1時間44分。日本公開は1993年6月19日。
食事中のご視聴は控えたほうが賢明である。
概要
監督はなんとあの『ロード・オブ・ザ・リング』で有名なピーター・ジャクソン。彼は『バッド・テイスト』、『ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス』に続く本作でその類稀な才能を認められ、世界的ヒットメーカーとして一躍、映画界のトップの座に躍り出ることとなった。
派手に飛び散る数百リットルもの血糊、腕が飛ぶわ首が飛ぶわ男性器に追いかけられるわのやりたい放題な殺戮劇、最後は芝刈り機で大量殺戮と、残虐すぎてかえって抱腹絶倒させる仕上がりとなっている。世界広しといえども、ゾンビの神父と看護婦がチョメチョメしてゾンビの赤ん坊をもうけ、それを主人公がベビーカーに乗せてお日様の下を散歩させ、けっきょく公衆の面前で殴る蹴るの虐待におよぶ映画なんて本作だけだろう。ほかにそんな映画があってたまるか。
演出も、「3回目の法則」(3回目にオチを持ってくるアレ)や、演出意図を完璧に表現するべく熟慮に熟慮が重ねられた構図とカメラワークにより、とにかく観客を笑わせる方向に振り切っているので、むしろ清々しい。一方で、親離れできない主人公が真実を知って母親と決別し自立するという、真摯な成長物語としての側面も併せ持つ。
ちなみにVHS版のパッケージは、「赤ちゃんを抱いた看護婦さんが椅子に縛り付けられている」という本編とはおよそなんの関係もないものだった。
登場人物
ライオネル・コズグローブ(演:ティモシー・バルム)
気弱でマザーコンプレックスというか母親に逆らえない冴えない青年。ひょんなことからママがゾンビになってしまい、だれにも相談できず、なんとかひっそりと匿おうと東奔西走するも、どんどん抱え込むゾンビが増えていき、しまいには……。
内向的で押しに弱く、やることなすこと裏目に出てしまう。子供のころおぼれかけ、そのときに父親を失ったというが……?
パキータ・マリア・サンチェス(演:ダイアナ・ぺニャルバール)
情熱的なラテン系の女性。いちど惚れると相手の家に押しかけ(住所も教えてないのに)、出会った初日でも自分からデートに誘い、真夜中でも構わず訪問し、玄関がだめなら梯子を昇って窓から入り、そのまま肉体関係まで結んじゃう。い、一途なだけだから……
パキータの祖母のタロット占いによると、彼女とライオネルは結ばれる運命にあるらしい。しかしライオネルは不吉な星に呪われている。果たして彼女は血に飢えたゾンビたちを撃退し、ライオネルと恋人になることができるだろうか?
ベラ・コズグローブ(演:エリザベス・ムーディ)
ライオネルの母親。最初から最後まで強烈なインパクトを放ち続ける本作のラスボス。通称ママ。
息子のライオネルへの支配欲に満ち、なにより世間体が大事。うるさ型で過干渉。彼女がラットモンキーに噛まれたことが惨劇の始まりだった。すべての元凶。
最後は怪獣と化す。
レス伯父さん(演:イアン・ワトキンス)
ライオネルの伯父。喘息もちで尿路結石で強欲でスケベ。ベラの死を聞きつけ遺産目当てにライオネルに接近する。
DVDのパッケージには「伯父」とあるが、本編の字幕では「叔父」となっている。
看護婦マクダビッシュ(演:ブレンダ・ケンドール)
恰幅のいい看護婦さん。ゾンビ化したベラに首を皮一枚残してもぎとられてしまう。噛まれてはいないのだがなぜかゾンビ化している。
マクラダー神父(演:スチュワート・デヴァニー)
じつはカンフーの達人で、突如現れたゾンビにも臆さず小手返しや華麗な回し蹴りで奮闘するカンフー神父。とくに蹴り技がすさまじく、水面蹴りでゾンビの両足を切断し、つま先蹴りで頭部を飛ばす。
上腕ひねり12連蹴り、ライダーキックなどのニュージーランド拳法で善戦するが、一瞬の隙をつかれゾンビ化してしまう。
ゾンビ看護婦と意気投合したようで、子供を産ませただけでなく、ラストではライオネルを無視して彼女とF○ckしていた。
パンク・キッズ
レザーファッションの不良グループ。リーダー格の男はママの墓石に立小便した結果、その報いを受けた。
グループのうちもうひとりもゾンビになったが、こちらはカンフー神父のニュージーランド拳法でバラバラにされている。
ゾンビ・ベイビー
ゾンビ看護婦とゾンビ神父の間に産まれた愛の結晶。文字通り生粋のゾンビ。
体が小さいことを利用しあんなところやこんなところに侵入する。ときたま巨大化する。
ハインリヒ
近所の獣医。「ナチに故郷のラトビアを追われた」と嘆くわりには、左腕におもいっきりハーケンクロイツの腕章を着けている。映していいのかそれ。
学者先生(演:ピーター・ジャクソン)
スカル島でラットモンキーという珍獣を捕獲し、国外に持ち出そうとした、すべての元凶の元凶。ラットモンキーに噛まれてしまい、現地のガイドたちに両腕を切断されただけでなく、頭まで断ち割られてしまう。
演じているのはだれあろう、ピーター・ジャクソン監督本人である。じつは監督はこのあとにも、葬儀屋の下働き役で再登場している。
ライオネルの父親
故人。屋敷に遺影が飾られている。
ちなみに写真に写っているのはジム・ブース。本作のプロデューサーである。
ラットモンキー
スカル島に生息し、原住民たちに恐れられていた珍獣。大昔に奴隷船のネズミが島のサルと交雑して生まれたらしい。噛んだ人間をゾンビにしてしまう。
動物園でママを噛むが、それが彼女の逆鱗に触れてしまい、反撃をうけ絶命させられる。
白黒時代のSF映画よろしくストップモーションアニメで動く。
こぼれ話
- 冒頭、ニュージーランド国旗と、乗馬されている女王陛下のカットが入る。これは本作がニュージーランド政府から正式に援助金を得ているため。正気かニュージーランド! よくやった!
- SF界の重鎮、フォレスト・J・アッカーマンがカメオ出演している。動物園でラットモンキーがママに踏み潰されているところを眉をしかめつつも写真に収めている男性である。
- 映画史上最多と思われる大量の鮮血の原料は、カナダ産メイプルシロップだそうな。
- 本国ニュージーランドでは、4ヶ月のロングラン、50万人を動員する大ヒットとなった。フランスでは1週間で7万人を動員。
- 日本はノーカット版が鑑賞できる恵まれた国だったりする。北米版では神父と看護婦が子作りしているシーンなどがカットされているのだ。米国でブルーレイが発売されたが、やはりカットされたままだった。
評価
えらく好評である。
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関連項目
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