ペイシャエス(Peisha Es)とは、2019年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年:名古屋グランプリ(JpnⅡ)、ユニコーンS(GⅢ)
概要
父エスポワールシチー、母リサプシュケ、母父*ワイルドラッシュという血統。
父はゴールドアリュールの初年度産駒で、8歳まで第一線で活躍し当時の日本記録タイとなるGⅠ級9勝を挙げたダートの名馬。種牡馬としては地方向けのダート種牡馬として活躍しており、サウスヴィグラス亡き後の地方リーディングを争う存在である一方、中央では目立った実績はない。
母は中央で2勝したあと船橋に移籍したが地方では未勝利に終わり19戦2勝。ペイシャエスは第2仔。
母父はアメリカでG1を2勝した輸入種牡馬。日本では主に地方向けダート種牡馬として活躍し、地方リーディングで2位になったこともある。代表産駒はトランセンド。
というわけで、ゴリゴリのダート血統である。
2019年3月18日、様似町の高村伸一牧場(主な生産馬に、3歳時のナリタブライアンに勝ったことで知られるスターマンなど)で誕生。
登録上のオーナーは新冠町にある育成牧場「キタジョファーム」の代表・北所直人。キタジョファームの主な育成馬にはJBCレディスクラシックを連覇したホワイトフーガがいる。
北所オーナーは「ペイシャ」と「キタノ」の冠名を使用しているが、「ペイシャ」はホワイトフーガなどのオーナーである西森鶴やその息子である西森功との共同所有馬用の冠名らしい。「ペイシャ」の意味は「北」所と「西」森で、麻雀の「ペー」「シャー」からだそうな。
北西に希望を
2歳~3歳(2021年~2022年)
美浦・小西一男厩舎に入厩。デビューは2021年10月31日、東京ダート1600mの新馬戦。丸山元気を鞍上に、13.0倍の3番人気だったが、好位先行から直線で逃げ馬を捕まえると、叩き合いを制しデビュー勝ちを飾る。
しかし中央実績のほとんどないエスポワールシチー産駒、北所オーナーも馬主歴30年超で未だ重賞馬なしという個人馬主。そんなペイシャエスはぶっちゃけ全然評価されていなかった。そして実際、11月のカトレアステークス(OP)は中団から伸びず10番人気9着。明けて3歳初戦、2月の平場の1勝クラス(中山・ダート1800m)は10頭立ての最低人気(単勝116.7倍)で、中団から4コーナーで下がってしまい見せ場なく6着。とてもこの後重賞を勝ってGⅠ級でも好走する馬とは思えなかった。
そんなわけで4戦目となった3月の伏竜ステークス(OP)では8頭立てのぶっちぎり最低人気、単勝242.3倍。しかしここではスタートから丸山騎手がグイグイ押して、逃げる断然の1番人気ホウオウルーレットをマークして2番手を確保。直線では2番人気ノットゥルノと3番人気の牝馬デリカダと4頭での激しい叩き合いとなり、最後はホウオウルーレットが脱落、間を割ったデリカダが勝利。ペイシャエスはノットゥルノにアタマ差かわされて惜しくも3着。複勝6160円の穴を開ける。
続く5戦目、4月の平場の1勝クラス(中山・ダート1800m)からは菅原明良に乗り替わり、以降は菅原騎手が主戦となる。ここでは4.0倍の3番人気に支持されると、2番手追走から直線抜け出し、追ってきた1番人気・後に3歳でJBCレディスクラシックを勝つヴァレーデラルナを5馬身ちぎり捨てる圧勝で2勝目を挙げる。
これで続く5月の青竜ステークス(OP)では4.5倍の2番人気に支持される。ここも2番手で先行し、直線で抜け出す勝ちパターンに持ち込んだが、ゴール前で追い込み勢に呑まれて5着。あれー?
続けて6月、初重賞となるユニコーンステークス(GⅢ)に参戦。3連勝中のリメイクとハセドンを中心に人気は割れ気味だったが、ペイシャエスは同条件の前走を勝ちパターンで5着という内容で評価を下げ、20.1倍の7番人気に留まった。
しかし前走で「1600で番手だとちょっと忙しい」と悟った菅原騎手は、これまでより抑え気味の5番手あたりでのレースを選択。直線で狭いところに進路を上手く見つけて間を割るように抜け出し、クビ差だけ前に出て1着でゴール板に飛び込んだ。
エスポワールシチー産駒、北所オーナーともにこれが嬉しいJRA重賞初制覇となった。
この勝利と、距離は延びた方がいいという判断で休まず7月のジャパンダートダービー(JpnⅠ)に参戦。4.9倍の3番人気に支持される。田んぼみたいな不良馬場の中で、ノットゥルノと並んで5~6番手でレースを進めたが、4コーナーでノットゥルノに外から先を行かれてしまい、直線で抜け出したノットゥルノを追ったものの3/4馬身届かず2着。菅原騎手は「強気に動いていれば着順は変わっていたかもしれません」と反省の弁を述べつつも「力があるところは見せられたと思います」とコメント。
月イチで6戦のなかなかハードなローテから2ヶ月半の休養を挟み、秋は9月の日本テレビ盃(JpnⅡ)から始動。古馬との初対決ながら、53kgという軽ハンデを貰ったこともあり、JDDを勝ったノットゥルノやUAEダービー馬クラウンプライド、連覇を狙う古豪8歳牝馬サルサディオーネらを押しのけ、2.2倍の1番人気に支持される。
レースは外枠から枠なりに外目の4番手で進めたが、サルサディオーネのハイラップ逃げを外で追って消耗したか、早めに菅原騎手の手が動く展開となってしまい、直線伸びず4着。
続いては大一番、JBCクラシック(JpnⅠ)。テーオーケインズ、クラウンプライド、メイショウハリオに次ぐ4番人気だが、オッズは離れた12.8倍と前走でやや評価を落とした感じの人気。
レースはクラウンプライドが押し出されるようにスローで逃げる展開を3番手で追走、4コーナーからクラウンプライドを捕まえに行ったが、外から上がって来たテーオーケインズにはあっという間に置いて行かれ、クラウンプライドにも突き放される。それでも後続は抑えきって3着。JBCクラシックで3歳馬が馬券に絡んだだけでも充分に大健闘なのだが、2歳上の帝王と同期のエースには力負けという感じであった。
チャンピオンズカップや東京大賞典には向かわず、年内ラストは名古屋グランプリ(JpnⅡ)を選択。ここでは実績から2.3倍の1番人気。
菅原騎手は前を行くヴァンヤールの手応えがいいと見て、それをマークしながら5番手で進め、先行勢が潰れてヴァンヤールが上がって行くとそれを追いかける。直線で抜け出したヴァンヤールを外から猛追、最後は激しい叩き合いとなったが、ゴールの瞬間僅かにハナ差かわして重賞2勝目を挙げた。
4歳(2023年)
明けて4歳初戦は川崎記念(JpnⅠ)。テーオーケインズとウシュバテソーロが人気を分け合う中、4歳勢代表として6.3倍の3番人気に支持された。
レースはライトウォーリアがハナを切り、ペイシャエスは菅原騎手がやや押し気味に前につけようとするが、ホームストレッチで外からテリオスベルが捲ってくる乱ペースの中、馬込みに閉じこめられて下がってしまい、向こう正面でもう菅原騎手の鞭が飛ぶ状態。結局うんともすんとも伸びないまま7着に撃沈。小西師いわく「揉まれて走る気をなくしていた」とのこと。
続いては船橋のダイオライト記念(JpnⅡ)。鞍上は戸崎圭太がテン乗りとなった。3.3倍の2番人気。
スタートからすっと外目の4~5番手につけ、例によってテリオスベルが捲っていくのを見送って先行集団の後ろで外を立ち回ったが、今回も向こう正面で鞭が飛ぶ状態になり、なんとか掲示板は確保したものの勝ったグロリアムンディからは3秒4も離された5着。
5ヶ月休み、久々の中央出走となる8月のエルムS(GⅢ)へ。鞍上も菅原騎手に戻ったが、ここ2走凡走しているのにトップハンデ59kgを背負う羽目になり、22.6倍の8番人気。レースは最内枠からあまりダッシュがつかず中団でのレースとなり、そのまま見せ場なく8着。
続いて金沢の白山大賞典(JpnⅢ)へ。今回もトップハンデ57kgを背負うことになり、15.5倍の5番人気。
レースは逃げるメイショウフンジンとケイアイパープルを見ながら3番手につけ、直線でも食らいついていったが、後ろから来た断然人気のウィルソンテソーロにはあっさりかわされ、メイショウフンジンもとらえきれず3着。とはいえ久々の馬券圏内、復調気配を見せた内容と言えた。
この後は連覇を目指して名古屋グランプリ……のはずだったのだが、1年間収得賞金を詰めなかったことが響き、賞金不足であえなく除外。東京大賞典も登録していたがもちろんこっちも除外を食らい、4歳シーズンは終了となってしまった。
5歳(2024年)
明けて5歳、しょうがないので年明けの中山・ポルックスステークス(OP)へ。しかしここでは60kgを背負う羽目になり、レースもあまり見せ場なく6着。
続いて3月のマーチステークス(GⅢ)。鞍上は新たに横山和生を迎えた。トップハンデタイの58kgかつ大外枠ながら5.9倍の2番人気。
レースは押して前に出て行くと、隣のミトノオーが逃げるのを行かせて離れた2番手で追走。しかしミトノオーには結局そのまま3馬身差で振り切られ、さらに勝ったヴァルツァーシャルにはあっさりかわされて3着。悪くない内容ではあるが、相変わらず賞金を詰めないのが痛い……。
復調気配は見せているもののなかなか歯がゆい流れが続くペイシャエス。3歳時の輝きを取り戻してエスポワールシチー産駒の中央の希望の星となれるか。
血統表
エスポワールシチー 2005 栗毛 |
ゴールドアリュール 1999 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ニキーヤ | Nureyev | ||
Reluctant Guest | |||
エミネントシチー 1998 鹿毛 |
*ブライアンズタイム | Roberto | |
Kelley's Day | |||
ヘップバーンシチー | *ブレイヴェストローマン | ||
コンパルシチー | |||
リサプシュケ 2011 鹿毛 FNo.5-h |
*ワイルドラッシュ 1994 鹿毛 |
Wild Again | Icecapade |
Bushel-n-Peck | |||
Rose Park | Plugged Nickle | ||
Hardship | |||
*バレーダンシング 2002 栗毛 |
Giant's Causeway | Storm Cat | |
Mariah's Storm | |||
Soltura | Sadler's Wells | ||
Rosa Mundi |
クロス:Hail to Reason 5×5(6.25%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)、Special, Lisadell 5×5(6.25%)
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