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トーセンヴァンノ
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…もう12戦だけど、元気いっぱい! トーセンヴァンノ!

――2022年皐月賞 Machico[1] (NHK)

トーセンヴァンノTosen Vanno)とは、2019年生まれの日本競走馬黒鹿毛騸馬

この令和の御世に、クラシックへ向けて昭和かそれとも地方かという過酷なローテを走らされた

な勝ち
2021年コスモス賞OP

概要

ヴァンキッシュラン、トーセソニア*ファンタスティックライトという血統。
2016年青葉賞を勝ち、日本ダービーを13着に敗れたあと屈腱炎引退したディープインパクト産駒(なおその年の覇者マカヒキ2022年10月まで現役だった)。オーナーの所有するエスティファームでプライベート種牡馬となり、トーセンヴァンノはその初年度産駒の1頭である。
は10戦1勝。世界を駆けめぐって2000年2001年ワールドシリーズ・レーシングチャンピオンシップを連覇した世界的名だが、日本では2001年ドバイシーマクラシックステイゴールドに負けたとして有名。種牡馬としてはパッとしなかった。

2019年3月13日エスティファームで誕生。オーナートーセンジョーダントーセンラーなど「トーセン」冠名でおなじみ哉。美・小檜山悟厩舎所属。

名の意味は「冠名イタリア語で『行く』」。

どこへでも行く

2歳

仕上がりはく、2021年6月27日札幌新馬戦(芝1200m)でデビュー上は小檜山厩舎所属、デビュー4年距離誤認で有名な山田敬士。3番手の先行策でレースを進めたが、のちに阪神JFで2着となるラブリイユアアイズを捕らえきれず2着。
2戦中1週7月10日函館未勝利戦(芝1200m)。上は武豊。行き脚がつかず最後方からとなり、4コーナーでうまく捌いて外に持ち出し追い込んだものの届かず2着。

勝利の身ながら、連闘7月17日函館2歳ステークスGⅢに挑戦。上は引き続き武。また最後方からのレースになり、直線で前のが邪魔になって上手く追い出せず6着。

ここまでは1200m戦を使っていたが、次は中3週8月14日札幌1800mのコスモス賞(OP)へ。上は山田に戻る。6頭立ての4番人気だったが、好スタートから2番手で進め、直線で抜け出したあと一度はエーティーマクフィにかわされるも、差し返して1着でゴール。もちろんヴァンキッシュラン産駒JRA勝利山田騎手は昨年10月31日福島6Rを最後に、JRA最多連敗記録タイ299連敗中で、300連敗という不名誉な新記録阻止する2021年勝利となった。
トーセンヴァンノは初勝利オープン特別で挙げたことで収得賞金600万円をゲットし、未勝利から一気に(この段階での)オープンに昇格。山田騎手は「使いながら良くなっていくタイプだと思います」とコメントした。

続いて中2週9月4日札幌2歳ステークスGⅢへ。上は山田。後方からレースを進め、外に出して追い込んだが、先に仕掛けたジオグリフからは5身半突き放され、アスクワイルドモアにも1身半届かず3着。重賞馬券圏内に入れるがあることは示したが、ここで収得賞金を獲れていれば、あんなローテを走らずに済んだだろうに……。

ここまでデビューから2ヶちょっとで5戦。まあ、北海道デビューの2歳が短期間に連戦するのはしい話ではない(たとえば札幌2歳S2着のアスクワイルドモアも中1週→中1週→中3週で4戦だった)し、短距離戦は較的への負担が少ないので、この段階ではまああり得るローテではある。
ここで一旦放牧に出され、次戦は2ヶ半後の11月20日東京スポーツ杯2歳ステークスGⅡ上は戸崎圭太で、12頭中11番人気スタートは良かったが右にモタれるのを上がなんとかしようとするうちに位置を下げてしまい、直線でも全く伸びず10着。

このあとホープフルステークスに向かうプランもあったが、結局年内はこれで終了。この段階でトーセンヴァンノは収得賞金600万円なので日本ダービーが終わるまではオープン条件戦には出られない。クラシック出走をすのであればオープン特別か重賞でもう1回収得賞金を獲るか、あるいはトライアルで優先出走権を確保したい……という立場である。
こういう場合、普通1月シンザン記念2月共同通信杯などの前戦で一度賞加算を狙い、ダメなら3月トライアルへ。もしくはこのままトライアルに直行し優先出走権を狙うのが常となる。トーセンヴァンノは2歳で6戦という時点で出走数は多いものの、あと1~2戦してクラシック、であればまあ間隔的にも常識的にも普通にあり得るローテである。
だが、このあとトーセンヴァンノを待っていたのは、令和とは思えない過酷なローであった……。

3歳春

明けて3歳、初戦は1月5日ジュニアカップ(L)上は山田敬士に戻った。前走から中5週ちょっとなのでこれはまあ間隔的にはまだしも常識的なレース選択だが、なぜか初の1600m戦である。9頭立ての7番人気。好位での先行策で進め、直線に入っても絶好の位置。そして上がりタイムも3位ではあったが他のも同程度かそれ以上の脚だったので5着。

続いてなんと中10日1月16日京成杯GⅢへ。上は引き続き山田。今度は初の2000m戦な上、さすがに間隔を詰めすぎである。16頭立ての16番人気、単勝338.6倍。最後方で内につけたが、4コーナーで押し上げようとして前が狭くなり、直線で全く伸びないまま13着。

今度は中2週2月6日きさらぎ賞GⅢ。いやいやいや。上は団野大成。11頭立ての11番人気体重も-12kgであったが、最後方から上がり4位で追い込んで7着。

この3戦を続けて走らせるローテだけでも充分おかしいのだが、次は中2週2月26日すみれステークス(L)おいおいおい。上は幸英明、やっぱり8頭立ての8番人気久々に4番手のやや前レースを進めたが、特に見せ場なく6着。このあたりからトーセンヴァンノを特に意識していなかった競馬ファンにも「このなんかいつもいるな」と認識され始める。

さすがにそろそろ休ませるだろ……なんて常識は通用しない。続いては中3週皐月賞トライアルスプリングステークスGⅡ上は田中1月ジュニアカップから体重が減る一方で合計20kgも減っており(498kg→478kg)、当然だが13頭中13番人気。今度も前につけたが4コーナーでもうずるずる後退し、ブービーグランドラインからさらに8身も離された最下位。

以上、皐月賞までの成績がなんと11戦1勝[1-2-1-7]昭和の御世ならともかく、これは2022年令和4年の話である。間隔を開けてレース数を絞って仕上げるのが当たり前になった令和競走馬とはとても思えない。
そして結局収得賞金は上積みできず600万円のまま。さすがに皐月賞理……かと思いきや、なんと2022年皐月賞抽選ラインが400万円。つまり新馬戦未勝利戦を勝っただけの1勝でも抽選に通れば出られることになったため、収得賞金600万円のトーセンヴァンノは自身が回避しない限り無条件で出走が確定した3歳になってからの5戦が出走可否になにひとつ寄与してないのが悲しい。

というわけで中3週皐月賞GⅠへ。12戦、年内6戦というぶっちぎりで他を圧倒するレースキャリアで挑んだ(他のは最も少ないイクイノックスダノンベルーガが3戦、一番多くてもグランドラインの8戦である)。上は木巧也。当然ながら18頭中18番人気、単勝311.8倍。厩舎の助手は「参加できて幸せ元気競馬してほしい」とほのぼのとしたコメント
から中団につけたが、結果として馬場の一番悪いところを走らされることになって4コーナーでもうついていけなくなり、直線ではずるずる沈没ブービーのサトノヘリオスから6身離された最下位に終わった。まあ、事に走りきっただけ良かったのではないだろうか。

ヴァンキッシュランの初年度産駒のうち、中央デビューできたのは彼とトーセキャロルだけ。そのトーセキャロルも1勝は挙げたが3歳2月地方移籍となったため、中央に残っているのは彼だけである。この後に続くヴァンキッシュラン産駒たちの将来のためにも、初年度産駒で一番の素質である彼になんとかクラシックに出てほしかった……と考えれば、あのローテもなんとなく理解できる気もしないでもない。同じ小檜山厩舎のトーセトラムがそんなこと関係なく同じぐらいローテ走らされてるけど。

さすがにここからさらにNHKマイルカップとかダービートライアルに向かうということはなく、放牧で休養に入りを終えた。

3歳夏~秋

ゆっくり3ヶ休み、7月24日札幌2000m、HTB賞(2勝クラス)で復帰。上はここから原田。2歳時に初勝利を挙げ重賞でも好走した札幌舞台、自己条件に戻ったことだし、ここは休養で一回り大きくなった姿を見せ……体重マイナス4kgどうして休んだのにさらに体重が減ってるんですか? レースも終始後方のままただ回ってきただけという感じのブービー14着。

続いては中1週で8月7日ライラック賞(2勝クラス札幌1800m)に登録していたが除外となったため、翌週の8月14日藻岩山特別(2勝クラス札幌2000m)に出走。また中2週ですか。体重が久々に+8kgと増え、今度は4~5番手の外で積極的にレースを進めたが、直線で伸びあぐねて9着。とはいえ前走よりは希望の持てる内容であった。

さらに中2週9月4日釧路湿原特別(2勝クラス札幌2000m)へ。また体重も+4kgと増え、5番手で追走すると4コーナーめに仕掛け、一度は先頭に躍り出かかる。しかしすぐに先行集団に飲みこまれて8着。今度は見せ場を作ったので、前進してきていることを感じさせた。

札幌開催も終わり一息……かと思いきや、次はまた中2週中山1600mの2勝クラス木更津特別へ。久々マイル戦だが、上がり調子だし前のマイル戦のジュニアカップも悪い内容ではなかったしで5番人気。今回も5番手で先行集団を見ながら追走し、4コーナーで外に持ち出すと、そこから強く伸びて前の4頭をまとめて差し切り1身半差の快勝。16戦、1年ぶりの勝利で2勝を挙げた。上の原田騎手に至っては、昨年3月のなにわS以来、この時点で継続中では最多の194連敗中で、これが実に1年半ぶりの勝利。奇しくも去年の山田騎手に続いて上の最多連敗を止める勝利となった。

昇級したことで中4週のお休みを貰い、3勝クラス初戦は10月29日東京1600m・紅葉ステークス。昇級初戦なのに12頭中ブービー11番人気。今回も5番手で先行集団を見ながら追走したが、直線で伸びず9着。ハイペースで上がりのかかる展開(34.6-36.6)だった前走に対し、スローで直線勝負(36.0-33.4)の展開は分が悪かったか。

このあと翌週レースにも登録があったが、元々登録だけだったのか、それとも何か頓挫があったのか、この後またしばらくの休養に入り、3歳シーズンは終了。

4歳

3ヶ休み、明けて4歳、1月29日東京1600m・節分ステークスで復帰。上は久々田中で、単勝208.4倍の最低人気レースは大外から終始後方のままブービー11着。

その後、中3週2月25日幕張ステークス(中山1600m)に出走する(上は永野猛蔵)も14番人気(178.9倍)、ほぼ回ってくるだけの16頭中13着となった。

さすがにもう限界だと思ったのか、障害競走への転向を行う。4月30日未勝利戦(新潟2890m)に出走する。9頭立て8番人気(34.0倍)であったが、勝ちから82離された8着に終わった。

そして中2週5月20日未勝利戦(新潟2890m)。14頭立て11番人気(43.7倍)で、勝ちから17離された5着。

ここで中6週を挟んで7月8日未勝利戦(中3000m)。10頭立て5番人気(9.2倍)で、勝ちからは4身離されるが、3着には大差をつける2着。その後は2023年中は休養となった。

5歳

5歳になって、実績から種牡馬になる見通しがないことなのかは知らないが、去勢されたようである。

2歳から3歳までと、3歳の過酷ローテを経て、準オープンまで行くも、4歳で見切りをつけられ障害送り。そしてついに去勢されてしまった彼は、今後走るは残っているのだろうか?

血統表

ヴァンキッシュラン
2013 黒鹿毛
ディープインパクト
2002 鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
*ウインドインハーヘア Alzao
Burghclere
*リリーオブザヴァレー
2007 鹿毛
Galileo Sadler's Wells
Urban Sea
Pennegale Pennekamp
Gale Warning
トーセソニア
2008 鹿毛
FNo.12-b
*ファンタスティックライト
1996 鹿毛
Rahy Blushing Groom
Glorious Song
Jood Nijinsky
Kamar
*ヘニーズソング
2000 黒鹿毛
Unbridled's Song Unbridled
Trolley Song
Zama Hummer Knights Choice
Press to Test

クロスHalo 4×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)

関連動画

コスモス賞札幌2歳S動画がないのでとりあえずそれ以降の出てたレースを……。

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関連項目

脚注

  1. *NHKアナウンサーではなく声優。この日は副音で本馬場入場を担当。
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7 ななしのよっしん
2022/05/09(月) 04:30:43 ID: WAOjAfjBTe
収得賞金(クラシック出走)的の酷使というより出走奨励や特別出走手当的な気がする
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8 ななしのよっしん
2022/09/25(日) 14:39:35 ID: C+37m4TuoW
16戦で2勝おめでとう!※3歳
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9 ななしのよっしん
2022/09/25(日) 14:44:55 ID: C+37m4TuoW
というか原田君も久々勝利だったか…
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10 ななしのよっしん
2022/09/25(日) 15:10:15 ID: C+37m4TuoW
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11 ななしのよっしん
2022/09/27(火) 10:23:51 ID: B9XiSen3jN
何が凄いって、勝った上は2人ともその時点での最多連敗騎手なところよな。
山田に至っては1986年以降最多連敗タイ
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12 ななしのよっしん
2023/01/29(日) 20:05:32 ID: bKL0VfpHX1
今日久しぶりに走ってたね
なんか同じ馬主冠名同じに同じ厩舎で同じくらいハードな使われ方の3歳がいるけど何というか…
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13 ななしのよっしん
2023/02/05(日) 23:53:30 ID: MiAXsVb9Of
トーセスラムから来ました
まあ重賞勝てないならクラシック出るためにはとにかく勝てそうなところを数使うしかないからしゃーない
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14 ななしのよっしん
2023/04/27(木) 20:05:30 ID: wtTCrV6M7x
入障。
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15 ななしのよっしん
2023/07/08(土) 13:10:47 ID: wtTCrV6M7x
今日は悪くなかったね、障害での初勝利も期待できそうか
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16 ななしのよっしん
2024/01/31(水) 04:02:11 ID: gdC1y6WoLT
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