レイルリンク(Rail Link)とは、2003年イギリス生産・フランス調教の競走馬・種牡馬。
結果的に僅か半年足らずとなった現役生活の中、凱旋門賞でディープインパクトらを破って勝利したことで日本のファンにも記憶されている馬。
概要
父Dansili、母Docklands、母父Theatricalという血統。
父ダンシリは競走馬としてはGIに縁が無かったものの種牡馬入り後に活躍、現役時代はマイラーだったが産駒は中長距離馬が多い。現在の日本では*ハービンジャーの父というのが最も通りが良いか。
母ドックランズは現役時代11戦7勝。その大伯母には競走・繁殖いずれにおいても大活躍したDahliaがいる。
母父シアトリカルはブリーダーズカップ・ターフなど1987年だけでGI6勝を挙げ、エクリプス賞最優秀芝牡馬を受賞した活躍馬。
本馬はサウジアラビアのハーリド・ビン・アブドゥッラー王子が代表を務めるジュドモントファームの生産馬で、アブドゥッラー王子の所有馬としてアンドレ・ファーブル調教師に預けられた。
競走成績
デビューは3歳4月と割と遅めで、このレースでは1番人気だったが、不運にも前の馬と脚同士が接触した勢いで内ラチに衝突し、鞍上のヨハン・ヴィクトワール騎手が落馬し競走中止となった。その後2着を1回挟み、3戦目で勝ち上がった。
この時点で仏ダービーに当たるジョッケクルブ賞は僅か5日後だったので流石に自重し、ジョッケクルブ賞の2週後のリス賞(GIII)に出走した。ここでは単勝1.4倍に支持され、本馬が落馬したデビュー戦を勝利したSudanという馬を2着に破って勝利した。3週間後のパリ大賞典(GI・2400m)ではこの年のブリーダーズカップ・ターフを勝利することになるRed Rocksなどを破り、初勝利から1ヶ月半であれよあれよという間にGI馬となった。
2ヶ月ほどの休養を挟んだ後、ニエル賞(GII)で後にこの翌年から凱旋門賞で3年連続2着することになるYoumzainなどを相手に勝利し、凱旋門賞に向かった。
この凱旋門賞、ファンの注目は「3強」に注がれていた。その3強とはまず、前年の凱旋門賞を含めてこの時点でGI4勝・11戦8勝2着3回と非常に高いレベルで安定した成績を残しており、特にこの年のキングジョージではハーツクライやElectrocutionistを破り日本のファンにも名を知られていた、本馬と同じファーブル厩舎の4歳馬Hurricane Run。もう1頭がドイツでデビューし独ダービーと伊ジョッキークラブ大賞を勝った後に4歳シーズンからファーブル厩舎に移り、目下ブリーダーズカップ・ターフなどGI2勝を含む4連勝中、前走フォワ賞ではHurricane Runに勝利した5歳馬Shirocco。そして最後の1頭が、前年に無敗でJRAクラシック三冠を達成し、有馬記念こそハーツクライに敗れたものの年が明けて阪神大賞典→天皇賞(春)→宝塚記念と全て完勝、大きな期待を背負ってフランスへ遠征したディープインパクトであった。
この非常に層が厚いと見られた3強の出走に加え、当年の英ダービー馬Sir Percyが怪我で間に合わず、英愛オークス・ヨークシャーオークスを勝利したAlexandrovaとヴェルメイユ賞を勝利したMandeshaはいずれも牝馬限定戦のオペラ賞に回るなど有力馬の回避も重なった結果、戦後の凱旋門賞では最少の8頭立てでレースが行われることとなった。人気順は上からディープインパクト→Hurricane Run→Shiroccoとなり、ここまで主戦を務めてきたクリストフ・スミヨン騎手がShiroccoに騎乗したためステファン・パスキエ騎手が初めて騎乗する本馬は離れた4番人気となった。
レースが始まると、本馬は終始ディープインパクトをマークするように馬群の中ほどから追走。そのままフォルスストレートまでじっくり溜めて直線を向いた。道中行きたがる素振りを見せたのが祟ったのか先行していたShiroccoが直線早々に失速し、Hurricane Runもそれに前を塞がれ加速出来ない中、じわっと先頭に立ったディープインパクトとそれに並びかけていった本馬の叩き合いとなった。ディープインパクトもしばらくはよく粘ったが、残り100m辺りから明確に本馬の脚色が勝り、最後は大外を追い込んで2番手に上がったPrideにクビ差、3位入線のディープインパクト(後日禁止薬物検出のため失格)には半馬身差を付けて勝利した。ファーブル厩舎はHurricane Runに次ぐ連覇となった。
この年のレーティングでは芝馬の中でトップタイとなる127ポンドを与えられた(他にはディープインパクトと当年英2000ギニー馬George Washingtonが同値)。4歳時も現役続行予定だったが剥離骨折で春全休となり、調教を再開した矢先に今度は腱を故障したため結局凱旋門賞のあとは出走せず引退となった。通算成績は7戦5勝GI2勝、デビューから凱旋門賞までは僅か半年足らずながら、大きな印象を残した競走生活であった。
種牡馬成績
引退した本馬はアブドゥッラー王子が英国で所有していたバンステッドマナースタッドで種牡馬入りしたがあまり振るわず、2014年にフランスのセルシー牧場に売却された。この時期にクリテリウム・ド・サンクルーを勝利したEpicurisやオーストラリアンカップを制したSpillwayといったGI馬が出たがその後再び不振傾向に陥り、それらに続く活躍馬を出せないまま2022年5月20日に心臓発作のため19歳で死亡した。
血統表
Dansili 1996 黒鹿毛 |
*デインヒル 1986 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
Pas de Nom | |||
Razyana | His Majesty | ||
Spring Adieu | |||
Hasili 1991 鹿毛 |
Kahyasi | *イルドブルボン | |
Kadissya | |||
Kerali | High Line | ||
Sookera | |||
Docklands 1989 鹿毛 FNo.13-c |
Theatrical 1982 黒鹿毛 |
Nureyev | Northern Dancer |
Special | |||
*ツリーオブノレッジ | Sassafras | ||
Sensibility | |||
Dockage 1984 黒鹿毛 |
Riverman | Never Bend | |
River Lady | |||
Golden Alibi | *エンペリー | ||
Charming Alibi | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.5%)、Natalma 5×5×5(9.38%)
主な産駒
- Spillway (2010年産 騸 母 Flower Market 母父 Cadeaux Genereux)
- Epicuris (2012年産 騸 母 Argumentative 母父 Observatory)
関連動画
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関連項目
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