ロイスアンドロイスとは、1990年生まれの日本の元競走馬であり、最強馬である。
え? 他に強い馬がいるのに吹きすぎだろって?
いやいや、だって現役中に3回ぐらい「最強の」って呼ばれたんだから間違いなく最強馬である。
どれぐらい最強かっていうと、「シンザンもルドルフもブライアンもディープもオルフェも同じステージに上がれないぐらい」の最強馬である。
通算28戦3勝[3-9-7-9]
主な勝ち鞍
1994年:むらさき賞(1500万下)サロベツステークス(1500万下)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「ロイスアンドロイス(ウマ娘)」を参照してください。 |
最強馬誕生
1993年、競馬ファンがビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ウイニングチケットといういわゆるBNW三強ダービーに向けて盛り上がっている中、そのダービーに殴り込みをかけようという馬たちが集まるダービートライアル・青葉賞(当時はOP特別)に2頭の注目馬が出走していた。
1頭はステージチャンプ。名牝・ダイナアクトレスを母に持ち、父は名種牡馬・リアルシャダイという良血馬である。
そしてその良血馬に次ぐ注目を集めていたもう1頭がロイスアンドロイスだった。
父がウイニングチケットと同じ新種牡馬・トニービンということも注目を集めた理由の一つだが、それ以上に抜群に安定した成績がファンの目に止まったことが大きい。
デビューからの成績は2着、2着、3着、2着、2着、2着なのである。なんという詰めの甘さ安定感。ナイスネイチャさんもこれには納得。
ん? 誤字か脱字がないかって? ないですよそんなの。ここまでのロイスアンドロイスの成績は6戦0勝2着5回3着1回。
つまり、4歳の頂点を決めるダービーへの出走権を争うレースに、最下級条件馬である未勝利馬が何をトチ狂ったか果敢にも出走してきたのだ。
そんな馬が主にネタ人気で注目されないわけがなく、未勝利馬の身でありながら16頭6番人気とそこそこの人気を集めていた。
ただ、人気を集めているとはいえ6戦して1度も勝てていない未勝利馬である。多くのファンは「どうせ惨敗するだろう」とたかをくくっていただろう。
だが、レースが始まり、直線に入るとそんなファンたちの予想を覆す出来事が起きる。なんと、中団に待機していたロイスアンドロイスが先頭に立たんばかりの勢いで突っ込んできたのである。
最後は詰めの甘さを発揮して失速してステージチャンプの3着と敗れたものの、もう少しでダービーの優先出走権を得るところだったロイスアンドロイスを、ファンはこう呼んだ。
……………………いやいや、まだ終わらないよ!? だって「最強の未勝利馬」伝説はここで終わるけども、「最強の」伝説はここからスタートするのだ。
ちなみに「収得賞金を得ている馬」でないとGIには出走できないので、最低1勝しているか重賞で2着しているかしないとダービーの出走は無理。当時は重賞ではなかった青葉賞の場合、勝たないとロイスアンドロイスはダービーに出られなかったりする。
新たな最強伝説
さて、青葉賞で激走したロイスアンドロイスは未勝利戦に戻ってここを圧勝し、早くも「最強の未勝利馬」の名を返上した。今までのレースはなんだったのか。
さて未勝利を脱したロイスアンドロイスが次走に選んだのは自条件の500万以下条件ではなく、GIIIのラジオたんぱ賞。来るべき菊花賞へ向け賞金を稼ぎたいロイスアンドロイスにとって、500万以下条件なんかよりもラジオたんぱ賞の方が効率が良かったのだろう。
だが、さすがに重賞はそんなに甘くない。今度は先行策をとって一旦は先頭を伺うも、青葉賞と同じように最後に失速。
エーピーグランプリから離れた3着に終わってしまった。
ただ青葉賞に続いて3着と力は示し、それじゃあ今度は自条件に戻って着実に白星を挙げようと500万以下条件へ
出走するも惜しい2着。
アルェー? まあこういうこともあるよねと続いてまた500万以下条件へ
出走するもまた2着。それも前回より離された2着。
そんなことをやっているうちに夏は終わり、時はもう菊花賞まで時間のない9月に突入。
じゃあもうヤケだと思ったのかは知らないが、ロイスアンドロイスは今度は3着に入れば優先出走権を得られるセントライト記念に出走することになった。
青葉賞とラジオたんぱ賞で3着になっている実績があるとはいえ、今回は相手が強化されたうえに前走と前々走では500万以下条件で敗北。さらに3歳暮れのデビューからここまで休養無しの11戦と使い詰めの心配もあって7番人気に甘んじる。
だが、中団に待機したロイスアンドロイスは一味違うところを見せる。直線でムチが入ると、今度は後ろの馬に捕まらないぜと言わんばかりの伸びを見せ
たけれども前を行くラガーチャンピオンを捕まえられずに2着。収得賞金上積みで500万以下条件を卒業すると同時に菊花賞の優先出走権ゲット。
初勝利後の成績は3着、2着、2着、2着。なんという詰めの甘さ。わざとやってんのか。しかも500万以下条件と重賞が入り混じっての結果である。ステイゴールドさんもこれには感激。
善戦すれども勝てない、しかし必ず3着以内には来るという彼をファンはいつしか「最強の1勝馬」と呼ぶようになり、本番の菊花賞ではなんと4番人気に支持されることとなる。
1~3番人気はビワハヤヒデ、ウイニングチケット、ナリタタイシンのBNW三強なので、それに次ぐ人気である。また2着か3着になるんだろうなーと思われたんだろう。
だが距離が長かったか、それともGIの舞台はまだ早かったのか、いつものような一瞬だけの伸びは見られず、初めて3getもできない7着に沈んでしまった。
菊花賞後、自条件である1500万以下条件戦(冬至ステークス)に出走するも、やはり3getすら出来ない5着。この敗戦で、さすがのロイスアンドロイス「最強の」伝説も終わってしまったかと思われた。
最強伝説最終章
ところが、明けて5歳になるとロイスアンドロイスは徐々に力を発揮しだした。
休み明けの1500万以下特別(薫風ステークス)で2着すると、1年前には進めなかったダービーデーの準メイン競走・1500万以下特別むらさき賞で久々の勝利となる2勝目を上げ(「最強の2勝馬」はさすがにサウンズオブアースさんのもの)、とうとうオープン馬に昇格。次走のG3・エプソムカップでは2番人気を裏切って8着に沈み、降級制度の区切りとなる5歳7月を迎えてわずか1ヶ月で準オープンに戻るものの、すでにその実力は準オープン馬のそれではなかった。降級初戦の1500万以下特別サロベツステークスを快勝し、3勝目を挙げて一発でオープンクラスに復帰したのである。3勝だとライバルいっぱいるから「最強」が名乗れなくて残念。
オープン馬として堂々と重賞に挑める立場になったロイスアンドロイスは、同期のビワハヤヒデとウイニングチケットが出走予定のオールカマーに向かうことになった。
単勝4番人気、2ゲッターぶりが安定感が買われて複勝では3番人気に推されたこのレースで、ロイスアンドロイスは意表を突く逃げを見せた。
ただし、もちろん勝つなんて甘いことはなく最後の直線でビワハヤヒデとウイニングチケットにかわされて3着。
まあ、ここは相手が悪かったから仕方ない。
続く天皇賞(秋)は、オールカマーで負けた2頭に加えてネーハイシーザー、父が同じトニービンのサクラチトセオーなどの有力馬が参戦してきたこともあって11番人気と一気に人気を落としてしまう。
だが、どんな相手だろうが必ず2get、3getをしてきたロイスアンドロイスである。最後の直線、故障発生で伸びないビワハヤヒデやウイニングチケットを尻目にネーハイシーザーが先頭に立つと、その後ろから足を伸ばす2つの影。
ロイスアンドロイスとセキテイリュウオーの2ゲッターコンビである。
案の定ネーハイシーザーはかわせなかったものの、2頭は激しい叩き合いを展開。2ゲッターとしての年季の違いかセキテリュウオーにクビ差譲るも、3着は確保してGIの舞台でも互角に戦えることを示したのだ。
この勢いを駆って出走したジャパンカップでは、さすがに外国馬相手では用無しと思われたか8番人気。
前走がフロック視された結果かもしれないが、道中で好位追走していたロイスアンドロイスは残り200mとなったところでなんと先頭に躍り出た。GI、それも有力外国馬が回避したとはいえ国際レースの舞台である。
これには天皇賞(秋) はマグレだと思っていたファンも度肝を抜かれ、ロイスアンドロイスが先頭でゴール板を駆け抜けることを期待した。
当然ながら直後にマーベラスクラウンとパラダイスクリークに抜かれたが、それでもGIで連続3着。
そんなロイスアンドロイスの奮闘に、ファンは彼をこう呼んだ。「最強の3着馬」と。でもそれはナイスネイチャファンを敵に回すんじゃないかなって。
善戦の終わり、そして
ジャパンカップ後、疲れが出て休養に入ったロイスアンドロイスは、翌年の大阪杯で3get失敗の4着と敗れてしまう。
そして再び休養に入り、秋初戦の富士ステークスではいつも通りに3着を確保するが、ジャパンカップ・有馬記念では連続7着と往年の走りは影を潜めてしまった。
明けて7歳になり悲願の重賞・GI制覇へ向けてAJCCから始動するもまたもや3get失敗の4着。日経賞、天皇賞(春)と惨敗し、衰えを隠せなくなったロイスアンドロイスは、立て直しを図っているさなかで腸捻転を発症。短い生涯に幕を閉じた。
確かなキレ味を持ちながら勝負根性の無さが災いして結局重賞を勝てずに終わったものの、28戦3勝2着9回3着7回という成績は未だにファンの脳裏に深く刻まれ、ネタにされ続けている。
血統表
*トニービン Tony Bin 1983 鹿毛 |
*カンパラ 1976 黒鹿毛 |
Kalamoun | *ゼダーン |
Khairunissa | |||
State Pension | *オンリーフォアライフ | ||
Lorelei | |||
Severn Bridge 1965 栗毛 |
Hornbeam | Hyperion | |
Thicket | |||
Priddy Fair | Preciptic | ||
Campanette | |||
*ザッツマイパル That's My Pal 1979 鹿毛 FNo.21-a |
Key to the Mint 1969 鹿毛 |
Graustark | Ribot |
Flower Bowl | |||
Key Bridge | Princequillo | ||
Blue Banner | |||
Beautiful Memory 1973 鹿毛 |
Boldnesian | Bold Ruler | |
Alanesian | |||
My Dear Girl | Rough'n Tumble | ||
Iltis | |||
競走馬の4代血統表 |
関連動画
ロイスアンドロイスのGI連続3get
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関連項目
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