厨性能とは、「いかにも厨房が考えたような高性能」のことである。「能力を伴わないオッドアイ」など、性能に無関係な設定まで含んだものは、「厨設定」「厨スペック」とも呼ばれるが、実際は設定の大半が性能につながるものなので区別は厳格ではない。
古くはゆでたまご「キン肉マン」の単行本巻末に寄せられた、読者たちによる「ボクが考えた新しい超人」コーナーなどにルーツを見い出すことができる。
厨房による厨設定(嫌われる厨性能)
漫画やアニメを見ていて自分の考えた最強オリジナルキャラの登場を夢想するのは、中二病の残念な症状の1つ。
とりあえず思いついた限りのカッコイイ厨二設定がこれでもかと盛り込まれ、バランスや方向性というものを考えない。裏付けとなる知識や教養の不足から、考えた本人以外にはちっとも魅力的でないケースが多い。他者から見ると「ありえん(笑)」の一言で片づけられるような無理のある設定がまかりとおる。
その多くはエターナルフォースブリザード級の「防御不可能」「相手は絶対死ぬ」ような攻撃と、ATフィールド級の「どんな攻撃も絶対無効化」のような防御を併せ持ち、見た目も超絶美形だったりした挙句、さらに貧弱な衒学的設定が無駄に散りばめられている。
これを小説()にしてしまうと、書いた本人は欲望を作中で実現できて楽しいかもしれないが、読者には納得のいかない不自然な展開の連続になり、苦痛以外の何物でもない作品に仕上がることが多い。もし作家になるための通過儀礼として書いてしまったとしても、時には「投稿しない勇気」も必要である。さらにいえば、作品は書き手が存在を忘却してから数年から数十年の歳月をかけて「黒歴史ノート」へと変貌する運命にあるので、本来は書かずに自分の心の中にとどめておくのが吉であろう。
よくある議論
「(作品名)の(キャラ名)は厨性能(よって駄作決定!)」という批評がネット掲示板ではしばしばなされる。
厨性能キャラが原因で駄作が生じることが「多い」のは事実だが、後述のように厨性能キャラが絶対悪というわけではないので、厨性能キャラの存在の有無だけで駄作・良作が判断できるわけではない。
厨性能キャラが存在することを指摘した(認めた)上で、厨性能キャラをうまく活かすための工夫がなされているかどうかを検証した方が、発展的な議論が期待できると思われる。
喜ばれる厨性能・厨スペック
(プロの)良作
プロのクリエイターの創作したキャラクターに対しても厨設定、厨スペックという言葉は用いられる。批判目的の場合もあるが、必ずしも悪い意味で言われるわけではない。厨設定であっても、それをうまく活かして読者を楽しませることができた場合は、圧倒的な最強ぶりを誇るキャラクターに対する(呆れ混じりの)賞賛の言葉として用いられることも多い。
また、特に作者がメアリー・スー的に感情移入した「最強キャラ」、作中の強さランキングの枠外に置かれたジョーカー的なキャラクターに対してもよく与えられる。例としては江田島平八、範馬勇次郎、申公豹、比古清十郎、あぶさん、蒼天版曹操など。ただし、「作者が最強と決めたので最強」という理不尽さは時に賛否両論を呼ぶ。
なお、厨スペックは女性に人気のある主人公像であり、ハリー・ポッター、テニスの王子様、ガンダムSEEDなどにおける「絶対最強なので無敵」という容赦のないスペックをもった主人公像も近年ではむしろ歓迎される傾向にある模様。
ゲームにおける厨性能
パラメータの存在するゲームなどにおいては、「長距離攻撃と近距離攻撃と中距離攻撃が得意で、宇宙や水中や空中や地上戦で無類の強さを発揮する」ようなバランスブレイカーに対して、「なんだこの厨スペックw」との評価が与えられる。公式チートなどという言われ方もする。(スーパーロボット大戦のネオグランゾンなど)
公式キャラでない場合でも、チートを用いると俺TUEEEEな厨性能キャラを容易に作り出すことができる。
現実における厨設定?
たまに現実世界の対象に対しても用いられることがある。現実なので「設定」であるはずもないが、「現実ではありえない」「まるで漫画やゲームのような万能・完璧ぶり」に対する畏敬の念を込めての呼称である場合が多い。
厨設定ではなく厨性能、厨スペックと表現されるべきところだが、もはや現実と思えないという点を強調するためにあえて「そういう設定だからwww」みたいに言われることもある。リアルチートという表現も用いられる。
関連動画
関連項目
- 厨キャラ
- 俺TUEEEE
- 完璧超人(パーフェクト超人)
- チート
- リアルチート
- メアリー・スー症候群
- オリキャラ
- デウス・エクス・マキナ
- バランスブレイカー
- エターナルフォースブリザード
- 中二病
- 邪気眼
- 黒歴史ノート
- 奈須きのこ
- ヨハネスブルグのガイドラインが使われている記事一覧
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