味変(あじへん)とは、「料理などを食べている途中で、調味料などを用いて味を変化させること」である。
概要
どんなに美味しい料理でも、食べている途中で味に飽きがくることはある。そんなときに、料理に添えられている薬味やテーブルにおいてある調味料などを用いて味を変化させると、また異なる味を楽しむことができる。この「味を変化させる」ことを「味変」と呼ぶ。
例えばラーメン店の場合、途中で卓上にある胡椒や辣油、辛味噌、酢などを加えることで味を変化させることができる。他にも家庭で食べるインスタントラーメンや鍋、おかゆなどでも、調味料や卵などで味変が可能。
いつからある言葉なのか
2022年現在では、小学館の『デジタル大辞泉』にも掲載されているなど、ある程度は一般的な日本語として(ただしおそらくは俗な表現として)受け入れられている感はある。いくつか「味変」を冠した商品も販売されている。
- 味変ラムネ(コリス株式会社)
- 〆で味変(久原醤油) ※複数の味が存在する。
上記の「明星チャルメラカップ 」には、半分食べたら入れることが推奨される「味変パック」が付属している。
ただし「古くからある表現」では無いようで、2022年現在時点では「近年使われるようになった言葉」として扱われることが多い。例えば「ワコールボディブック」というウェブサイトの2020年10月28日の記事では、「味変」について「近年、主にB級グルメ界隈でカジュアルに使われるようになった俗語である。」と記されていた。[1]
しかし「近年」が具体的にいつからであるのか、という点について信頼できる情報源は乏しいようだ。
インターネットでの検索も行いにくい。「味変」で検索しても冒頭に載せたような「味を変化させる」という意味ではなく「味」と「変」が隣り合っている例も検索結果に出てきてしまうためだ。例えば「味がおかしい」といった意味で「この料理の味、変じゃない?」といったフレーズを「、」や「が」を省いて「この料理の味変じゃない?」と書く人もいる。
ただ、日本で人気がある短文投稿サイト「Twitter」で検索してみると、2007年や2008年(ちなみにTwitterのサービス開始は2006年、日本語サービス開始は2008年)のうちから「味を変化させる」という意味合いで「味変」を用いている人がいる(数は少ないが)。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/aratake/status/316115382
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/YODA_44/status/980171621
よって、少なくともこの頃からは使用されていた言葉であることはわかる。
また、2013年には「テレビの情報番組で「食べている途中で味が変わる」事を指して「味変」(あじへん)という言葉を使っていたが、耳慣れない言葉だ」という趣旨のツイート投稿をしている人がおり、またそのツイートに賛同している人もいる。
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/a_yokota/status/322899518708404225
これも参考となる。「2010年代半ばにはテレビ番組でも説明なしに使用し始めるくらい広まり始めていたが、耳慣れない言葉だと感じる人がいる程度には広まりきってはいなかった」ことが示される例であるからだ。
Googleトレンド
インターネット検索エンジン「Google」で「あるキーワードがどれだけ検索されたのか」を調べることができるGoogleのサービス「Googleトレンド」で「味変」を調べてみると、どうも2009年頃から右肩上がりに検索数が上がっていることがわかる。
上記のように確実に2009年よりも以前からの使用例があるので「2009年が起源」ではありえないが、「このあたりから広まり始めた」事を示す材料にはなるだろう。
特定の界隈に起源があるという説
ちなみに、「元々は特定の界隈でよく用いられていた言葉が一般化したものだ」と語られることもある。
ただし、その「特定の界隈」についても複数挙げられる上、特に根拠が示されるわけでもないため、どれが信頼できるのか(あるいは全て間違いなのか)はわからない。
たとえば、「大食い業界での言葉だ」という説[2]があるほか、「ラーメンマニアの間で広まった新語だ」[3]という説もある。
読みについて
「あじへん」と読まれることが多いようだ。
だが、「味」を「あじ」と読むのは訓読みで、「変」を「ヘン」と読むのは音読みである。このように訓読みの次に音読みを組み合わせるのは「湯桶読み」などと呼ばれ、日本語ではやや変則的な読み方である。そのため「味」も音読みの「ミ」で読んで、「味変」は「みへん」と読むべきなのではないだろうかと思う人も居るようだ。
しかし上記のように発祥不明の俗語であるから「あじへんと読むのが正しい」とか逆に「あじへんと読むのは正しくない」ということはない。
現状で「あじへん」と読む人が多いのは、「あじ」と読む漢字は比較的少ないが、「み」と読む漢字は大量にあるため、「みへん」と読んでしまうと「味」について話していることが伝わりにくいためかもしれない。
関連動画
2020年4月24日投稿の料理動画。動画説明文に「そのままでも美味しいですが ソース+マヨネーズ、ケチャップ、ポン酢など お好みの調味料で味変も可能です。」とある。
関連項目
脚注
- *今月のコトバ「味変(あじへん)」 | ワコールボディブック(元ページが削除済のためインターネットアーカイブへのリンク)
- *「飽きたらかけるタレやチーズなども用意されている。 大食い業界では、こういう調味料をかけることを「味変(あじへん)する」と言うそうだ。 大盛りを頼んだら、味変してみるのも、また一興だろう。」 ブログ「東京別視点ガイド」の2011年5月31日付の記事「ナポリタン専門店「スパゲッティーのパンチョ」【池袋】」より。
- *「味が変化することを略して「アジヘン」と呼んで「味変」と書きます。今は飲食業界においては普及しているものの、一般用語ではありません。発祥を探すのはほぼ困難ですが、もともとはラーメンマニアの間で広まった新語のようです。」 サイト「フードマニア」の2022年6月15日付の記事「ラーメン見聞録「ラーメンの味変」について考察」より
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