測度とは、集合の大きさを表す尺度である。
概要
図形は、いかなるものでも大きさを持っている。線分には長さ、平面図形には面積、空間図形には体積がある。図形は無数の点の集まりとして考えることができるが、逆に空間内の様々な点の集まりに対して面積や体積に相当するものを考える。これがルベーグ測度である。
現在では、この考えをさらに一般化して、様々な集合に測度を定義している。例えば、確率論では確率を測度として考える。集合の大きさを表す尺度として濃度というものもあるが、濃度が集合に対して1通りにしか定まらないのに対し、測度は様々な種類がある。ちなみに、濃度も測度のひとつである(数え上げ測度という)。
可測空間
測度を定義するには、まず「測度を定義できる集合」を設けなければならない。これは、全体集合Xと、その部分集合による族Mで構成される。(X,M)が可測空間なのは、次の条件を満たすことである。
このときMは完全加法族、もしくは可算加法族とも言う。Mの元は可測集合という。完全加法族Mでは、次のことが成り立つ。
前述の1番目の条件を前者、前述の3番目の条件を後者に替えても完全加法族の条件として成り立つ。
確率論ではXを全事象(起こりうるすべての場合)とし、Mの元は事象という。
ちなみに、Xがいかなる集合でも、{Ø,X}と2Xは完全加法族である。
測度空間
冒頭でも述べたとおり、測度は集合の大きさを表す尺度である。言い換えれば、可測集合に対し、その大きさを返す関数となる(厳密には無限大も含むので関数ではないが)。記号はμを使い、次の条件を満たすものとする。
確率論では、測度は事象の起こる確率のことを指し、確率測度という。この場合、さらに次の条件を満たす必要がある。
- 測度は0以上1以下の値をとる。
- Xの測度は1である。
可測関数
可測空間上に定義される、積分可能な関数。(X,M)が可測空間であるとき、X上の実関数fに対し、次のような対応を考える。
fが可測関数であるとは、先に決めたαがどんな値でも、それに対応するMが必ず可測になることである。特にM={Ø,X}のとき、可測関数は定数関数しかなく、M=2Xのときは、いかなる関数も可測関数である。
測度と可測関数が定義されれば、ルベーグ積分ができる。詳しくは積分の記事を参照。
関連項目
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