災害レベルに達した新型コロナウイルス感染症拡大による
医療の危機について
とは、緊急事態宣言下にある令和3年(2021年)8月23日の京都府において、複数の医療機関が連名で発表した声明文である。
概要
京都府における新型コロナウイルス感染症重症患者の受入医療機関である13の病院が、この日に連名で発表した声明。
新型コロナウイルス感染症の第5波の爆発的感染拡大が止まらないという苦境を伝え、
- 既に他都道府県で起きている、自宅で療養している患者が病院に入院できないままに亡くなる事態が京都府でも発生しかねない状況にある
- 新型コロナウイルス感染症重症例の治療のために集中治療室(ICU)の病床を使用しており、そのため術後にICUに入ることが前提の難しい手術はほとんど停止を余儀なくされている
- 新型コロナウイルス感染症以外、たとえば脳卒中や循環器病(心臓病の発作など)といった救急患者の受け入れも困難になる例が多発している
- 本来ならばその病院で当然診るべき「かかりつけ患者」が急変した場合であってもその病院に入院できないような事態にまで陥っている
等の苦しい状況を伝えつつ、
この声明は13の医療機関のウェブサイトにおいてPDF文書ファイルの形で公開されたが、その多くの文書の背景は、この記事のように真っ赤に染められたものであった。
その色調は、こういった鮮やかな赤(京都第一赤十字病院や京都医療センターなど)の他にも、暗い赤(京都大学医学部付属病院など)、ピンク色(京都府立医科大学附属病院など)といったようにそれぞれの医療機関で異なっている。特に色は付けられておらず通常の白い背景の文書だった医療機関もある。
この異様な声明文は閲覧者に強いインパクトを与え、SNSで話題となったり、ニュースサイト(本記事下部の「関連リンク」に示す)で取り上げられるなどした結果、結果として声明文を多くの人に届けることに寄与したものと思われる。
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https://twitter.com/sarutobi825/status/1429827530018607110
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この声明が出された2021年8月23日の6日前の17日には、同じく13医療機関および京都府医師会の連名で「新型コロナウイルス感染症拡大による医療のひっ迫について」という声明が出されていたが、そちらは「黄色背景に黒字」であった。わずか1週間足らずで、黄信号から赤信号へと状況が悪化したことを示したものとも言える。
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https://twitter.com/kyura_1122/status/1430084717743800323
声明の本文(上記医療機関らが公開しているPDF文書からの引用)
- 京都府においても新型コロナウイルス感染症の第5波の爆発的な感染拡大がとまらず、8月20日に緊急事態宣言が適用されました。会見で西脇京都府知事は「災害級の危機である」と述べられていますが、このままでは本年春の第3・第4波において関西圏において経験したように、また現在首都圏で数多くみられつつあるように、適切な医療を受けることができない自宅療養者のうち死亡される事案が京都府においても発生しかねない災害レベルに達しています。
- この災害級の医療の危機に対応するために、新型コロナウイルス感染症重症患者受入医療機関では、新型コロナウイルス感染症重症例の治療のために集中治療室(ICU)の病床を使用せざるを得ません。このため、治療後にICUにおける管理が必要な高難度手術や侵襲度の高い治療(たとえば心臓血管外科手術や生体肝ないし生体肺移植、難易度の高い食道がん手術あるいは特殊な抗がん療法など)については、緊急性の高いものを除いてほとんど停止を余儀なくされつつあります。
- 救急応需困難例が多発しており、脳卒中や循環器病をはじめとする救急医療やがん治療などはすでにかなり制限を受けており、かかりつけ患者が急変した場合であっても必ずしも入院できない事態とまでなっています。
- 【京都府民の皆様へのお願い】
救わなければならない命を救うために、感染の明らかな誘因とされている行為(屋内屋外を限らず複数名での飲食、マスクなしでの会話)を何卒回避していただきますようお願い申し上げます。是非自分を守り、家族や大事な人を守る行動をとってください。
感染の明らかな誘因とは考えられていなかったデパートやスーパー等での買い物のような日常の外出の後にも感染の発症がみられるようになってきています。8月20日には全国知事会から政府にロックダウンが要請されましたが、外出そのものを可能な限り少なくしないと感染拡大は止まりません。
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長の提言にありますように、感染を抑えるための最低限の目標は昨年の第1回緊急事態宣言時のような人流の削減です。
できる限り外出を控えていただきますよう何卒ご協力をお願い申し上げます。
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関連項目
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