BRICSとは、国家群の一つである。
概要
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中華人民共和国(People's Republic of China)の四カ国、2011年よりは南アフリカ(South Africa)を加えた5カ国の発展著しい国々を指す。
元々はゴールドマン・サックスに所属する経済学者、ジム・オニールが2001年に提唱したBRICの四カ国を指し、sは複数形を示す接尾辞に過ぎなかったが2010年にこれら四カ国の首脳会議に南アフリカが加わり、2011年より正式にBRICSとなった。
いずれの国もその地域におけるいわゆる地域大国にあたり、GDPは世界全体の3割弱と、大きな存在感を示している。五カ国あわせて面積は世界全土の約3割、人口は世界人口の45%を占めており、その比重の大きさは明らかである。また、資源国としても知られており、石油シェアは2割、石炭は3割、粗鋼は約半分を占めている。
提唱の2001年から20年以上が経過し、BRICS全てを併せた経済的な影響力は増しているが、飛躍的に伸びているのはインドと中国だけで他の国はやや失速気味である。また、国別では良くても、一人あたりGDP(2022年版)はトップのロシアであっても15000$ほどで世界61位。最下位のインドは2300$で143位と悲惨なことになっている。他にも周辺国との領土紛争や自国民への抑圧や権威主義的な姿勢などが問題視されており、注目が高まっている。
国際的枠組みとしてのBRICS
2009年より毎年首脳会議を開催しており、世界中の耳目を集めている。
開催地はBRICSに所属する国の持ち回りとなっていて、第1回はロシアのエカテリンブルクで開かれ、直近の第15回では南アフリカのヨハネスブルグで開催されている。基本的には対面による会談だったが、2020年から2022年にかけての三回分はコロナウィルスの感染拡大を見てオンライン会議となった。
内容としてはBRICS間の協同や、結束に向かう為の取り組みの協議を行う。それに加えて、近年ではドルへの対抗から貴金属が価値の裏付けとなる独自通貨構想を打ち出したり、2023年の第15回ではサウジアラビア、イラン、エチオピア、エジプト、アルゼンチン、UAE(アラブ首長国連邦)といった国々の加盟(正式メンバーとしての招待)を正式に認めたが、2023年12月30日に親米に転向したアルゼンチンが加盟見送りを表明した。現在ではベトナムやタイ、アルジェリアやバーレーンなど14カ国が加盟申請を行っている。
2013年の第5回会議ではIMF(国際通貨基金)の代替・補完を目指した新開発銀行(NDB)の設立が合意され、2014年より活動を開始した。現在の資本金は1000億ドルに及ぶともいわれている。また先述した新通貨(各国の貨幣の頭文字をとってR5とも)発行に向けて各国は金保有量を増やしているという話もある。
経済面以外でも2011年頃からはアメリカを経由しなければならないコストを嫌気して、BRICS間での海底ケーブルを提案したり、加盟国間でのスポーツ競技会や映画祭、知的交流なども行われている。
新興国の経済発展が世界経済上の重要議題となるなかで特に牽引役となるこれらの国の動向はこれからも注視していく必要があるだろう。
関連項目
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