概要
これは「京都議定書」の目標達成のための日本の行動計画をまとめた本である。発売が2005年で、当時としては、この本が行動計画をまとめた最初の一冊となる。さまざまなところで取り組むべき、対策と施策を紹介した本ではあるが、発売が2005年であり、書かれた内容は当時の状況などによるものだと思われるので、最新の情報も含めた、最近発売された書籍も併読したほうがいいかもしれない。
企業・個人でできる簡単な温暖化対策
こうした書籍は、「難しい」というのが第一印象であり、難しい文章ばかり並んでいて読む気がしない…と思う人も居るだろう。そこで、ここでは、企業・個人でできる、「とりあえず、まずはこれをやれ!」という温暖化対策を紹介しておこう。例えば、企業なら「商品の宣伝にもエコを考える」、個人なら「ゴミを出さないように心がける」、こんな感じだ。こういう書き方なら誰でも理解できるのではないだろうか?
CO2を減らすために企業などが今すぐにするべきこと
以前はそれほど多くなかったはずだが、最近は様々なところで「エコ」「環境」を謳ったCM・広告・宣伝を見かけたり、エコを考えた商品も多数販売されている。スーパーで使う「エコバッグ」などもそうした商品のひとつだ。しかし、企業が「エコ」や「環境」を謳ったところで、宣伝に関してCO2を大量に排出するようでは全く意味が無い。そこで、今すぐに企業などがするべきことを羅列してみる。
排気ガスを出さない広告媒体を使用する
昔には無かった、トラックやバスを使ったラッピング広告。ラッピングバスやラッピングトラックなどと呼ばれているが、こうした車体広告は、燃料に石油(軽油など)を使用するため、当然排気ガスも出る。排気ガス=CO2である。CO2を減らす、またはエコを心がけている企業でも、こうしたCO2を大量に排出する広告を使っていたら、何の説得力も無い。ラッピングトラックなどの広告媒体は、宣伝・見せることが目的で走っているものなので、走行速度も減速しがちであり、渋滞の原因にもなりうる。ひろゆき氏もトラックのラッピング広告は違法にすればいいのに。と言っているほどだ。ラッピングバスは路線バスなどの公共交通機関にも採用されているが、路線バスはお客を乗せて走る交通機関であり、その交通機関の車体に広告を施しているだけなので、無駄なものではない。(電車などの車体に広告を施すことと同じ)が、しかし、宣伝用のラッピングバスやラッピングトラックは、お客を乗せるわけでもなく、ただ宣伝して走るだけなので、非常に無駄が多い。宣伝のためだけにCO2を大量に排出するならば、他の広告媒体を使うべきである。最近では、自転車を使った、排気ガスを出さない広告媒体もあるし、同じ車体広告ではあるが、排気ガスを出さない電気自動車の宣伝カーも存在する。このような、排気ガスを出さない広告媒体を利用し、積極的にエコをアピールすることで、注目度も上がり、好まれるようになるのではないだろうか。いっそ「当社は排気ガスを出さない広告媒体を使用します」などと宣言してみてはどうだろうか?
選挙カーを見直す
ラッピング広告と並んで無駄だと思われるのが、選挙時に使われる「選挙カー」である。これもラッピング広告と同じで、宣伝や、候補者の名前・政党名を覚えてもらうためだけの車である。選挙カーも、ほとんど燃料が石油であり、CO2を排出する。ハイブリッドカーや電気自動車を使うとしても、大音量の拡声器で、候補者名や政党名を連呼するだけの目的で走らせるものであり、苦情も多いはずだ。よく「選挙カーがうるさいので選挙運動員を殴った」や「選挙カーがうるさかったのでマイクを奪ったら逮捕された」というようなニュースが選挙期間中に報道されることがあるが、そうしたニュース、苦情など、候補者、政党関係者も注目するべきであり、選挙カー以外の方法を積極的に使って選挙活動をするべきなのだ。最近は24時間営業の店も増え、病院なども、大病院であれば24時間体制で、夜間・深夜に働く人も多い。そうした人が夜勤を終えて帰宅し、夜勤に備えて眠ろうとしても、選挙カーが大音量で名前の連呼をしていたら眠ることは出来ない。睡眠不足のままで出勤する事態になる可能性が高くなってしまう。また、昼間に、赤ちゃんなどを寝かそうとして、赤ちゃんが眠った直後に選挙カーが来たとしたら、また寝かさなければならないということも起きる可能性が高い。昔ならば選挙カーが走る時間は全員起きているのが普通だっただろうが、最近は24時間の間、常に誰かが起きて仕事をしているわけであり、選挙カーも時代遅れと言わざるを得ない。選挙カーに関するアンケートで、選挙カーによる連呼を、7割以上の人が「逆効果になる」と答えていたとする結果が出たところもあり、選挙カーを使う候補者・政党には投票しないと回答する人も居たほどなので、CO2削減や苦情を無くす意味でも、選挙カーの見直しの時期が来ていると言っていいだろう。
ゴミを増やすだけのチラシポスティング
ビラ・チラシなどを使っての宣伝は、一般的なことではあるが、ポスティングによる宣伝となると様々な問題が起きる。まず「ビラ・チラシお断り」「ポスティングお断り」「郵便物以外投函厳禁」などと表示したポストに、宣伝のためのビラ・チラシを投函する輩が存在すること。アルバイトの場合は、多くのポストにポスティングすることで収入が増えるし、ポスティング会社も、大量の配布実績を作ることができるので、依頼を受けやすくなるかもしれない。が、ポストに不要と書いているのにもかかわらずポスティングするということは、その分ゴミを増やすだけであって、宣伝にはならない。逆に「チラシお断りと書いたのを無視してチラシを投函する悪質企業」と認識され、以後は不買や拒否の対象になるだろう。マンションなどの集合住宅では、基本的にポスティングが禁止であり、苦情だけではなく、通報により投函した人物が逮捕・連行されるケースもある。それなのに、ポスティングにより、チラシという「ゴミ」を「不法投棄」するような行為をするのは、ゴミを増やし、ゴミ急増によるCO2増加を招くので、ポストや建物などに、ポスティングを禁止する表示をしたところに無断でポスティングすることを止めるべきであり、ポスティング以外の方法を使って宣伝するべきである。新聞折込ならば、新聞と一緒に古紙回収に出される、または資源ゴミとして出されることになるので、無駄にはならない。「チラシの裏」という言葉があるように、裏が白いチラシを折込広告で使えば、広告としての役目が終わっても、メモ用紙として再利用される可能性もあるので、片面印刷で、新聞折込をしてみるのもいいかもしれない。ピザや寿司・レストランなどの宅配、美容室、学習塾、お米屋、生協・共済・保険、不動産・マンションの宣伝、ブロードバンド系の宣伝、過払い請求などの弁護士・司法書士の宣伝ほか、チラシポスティングで宣伝している企業は、今すぐにポスティングを見直し、無駄・苦情の無い、ゴミを出さない宣伝方法にするべきであり、エコ・環境を考えた宣伝をしてほしい。ちなみに、最近多いフリーペーパーや情報誌のポスティングも同じことなので、ポスティング禁止のポストに繰り返しフリーペーパーを投函し、苦情が多くゴミを増やしている媒体には、広告を出さないことも重要である。
ポスティングのチラシなどを回収するボックスの設置
スーパーやコンビニの入口などには、空き缶・空き瓶、ペットボトルなどを回収するボックスが置かれていることが多いが、これに加えて、ポスティングで投函されたチラシやフリーペーパーなどを回収する箱を置いてみてはどうだろうか?スーパーなどでは、安売り情報などを載せたチラシで、新聞折込によって宣伝していることが多いが、そうした自店のチラシも回収することで、エコをアピールできるのではないだろうか。チラシで宣伝するだけではなく、新聞折込を使ったとしても、それも回収するようにすれば、かなりのエコになるはずだ。スーパーでのチラシ宣伝担当者の方には、ぜひ考えていただきたい。
CO2を減らすために個人などが今すぐにするべきこと
上記は企業向けであるが、以下は個人向けである。個人でもできるCO2削減、「こんなことでもエコになるのか」と新たな発見ができるはずだ。個人でできるエコを羅列してみよう。
トラックやバスなどのラッピング広告で宣伝された商品は避ける
「企業がするべきこと」でも書いたが、排気ガスを出す広告媒体で宣伝された商品やサービスなどを買わないようにするという行動も一種のエコだ。ただし、路線バスのラッピングバスは全国で走っていると思われるが、これは公共交通機関なので、そこで宣伝されたものは含まない。宣伝用に作られた宣伝目的の車体で宣伝された商品などが対象だ。トラックなどで宣伝されているものは、映画やCD、ゲームなどが多いだろうが、化粧品や洗剤にいたるまで、車体広告で宣伝されているものが意外と多い。そこで、もし宣伝用の車を見かけ、その商品やサービスを把握したら、それを避けるようにすればいい。電気自動車や自転車など、環境に優しい広告媒体で宣伝されたものなら積極的に買うなり利用しよう。また、宣伝用のバスやトラックを紹介・記事にしたマスコミにも注意。それらを見ないなど、避けられるものは避けてもいいだろう。インターネットの某ウェブサイトでは、排気ガスを出す広告媒体を記事にしていることが何度かあったので、そうした媒体を読まないようにする、2chのニュース板でのソースに使わないなど、排気ガスを出す広告媒体に関係しているものは徹底的に避け、宣伝にもエコを考えるように促すことが重要だ。
<<チラシが要らないときはしっかり表示&要るならリサイクル>>
ポスティングで投函される配布物は、ビラ・チラシから、フリーペーパー・情報誌、自治体などの機関紙にいたるまで様々だ。もし郵便物やメール便以外全て不要ならばポストやポスト付近にしっかり表示をしよう。「チラシ・フリーペーパー等一切お断り」「郵便・メール便以外一切お断り」など何でもいい、投函する人が見やすく、解りやすい表示をしよう。ニコニコ市場でも、禁止表示プレートは購入可能なので、下記の関連商品を参考にされたし。また、「ポスティングは構わない、チラシでも何でも投函おk!」という場合でも、不要になったチラシやフリーペーパーなどは、新聞古紙や折込チラシなどと一緒に古紙回収に出すか、資源ゴミに出そう。裏が白いチラシはメモ用紙にしても構わない。とにかく、ゴミを増やさないことが重要だ。しかし、ポスティング不要でも、悪質な広告主や業者はチラシなどを投函するので、迷惑になったら苦情を言うか、消費者センター、警察などに相談してみるのもいいだろう。ポスティング規制を求める署名運動や、いらないチラシ広告を減らす事業なども参考に。
環境に優しいクリック募金やアクセス募金
お金が一切かからず無料で募金ができる「クリック募金」をご存知だろうか?これは、クリック募金のサイトにアクセスし、バナーなどをクリックすることで、1クリックにつき1円程度が寄付される募金だ。アクセス募金の場合は、特定のページにアクセスするだけで募金が完了する。寄付金は全て広告主・協賛企業などが出すので、参加者がお金を負担することは無い。このクリック募金には、寄付金が環境関連団体に寄付されるものがあり、1クリック1円程度が、環境関連の団体に寄付される仕組みだ。お金が一切かからないエコになるので、一度参加してみるのもいいかもしれない。
CO2削減をしなければならないのに規制・禁止されない不思議
地球温暖化防止のためにCO2を削減しようという動きになってはいるが、CO2を減らしたいのなら、排気ガスを出す広告媒体の禁止や規制、ゴミになるポスティングの禁止や規制などもすればいいのに、そうした動きが見られない。むしろ増加の一途を辿っている感さえある。非常に不思議であり謎である。しかし、消費者が、排気ガスを出す宣伝媒体を使った企業を避ける、ゴミになるポスティングを繰り返す企業を避けるなどすれば、いずれは世の中が動き出し、無駄なことは無くなっていくと思われる。上記を参考に、ぜひCO2削減に取り組んでいただきたい。
関連動画
スポンサーが付かず廃業した、排気ガスを出さない、自転車を使った広告媒体。
- 2
- 0pt