「苦情という名の贈り物」とは、ジャネル・バーロウ、クラウス・モレール著の書籍である。
概要
これは、顧客からの苦情を製品やサービスの向上に役立て、活用する手法を載せた本である。苦情は悪いものではなく、苦情によって今まで気づかなかったことがわかる絶好のチャンスであり、「それを活用しなければもったいないぞ」「苦情ではなく、それは顧客からのプレゼントなんだぞ」という感じのことが書かれているようだ。
マスコミなどが報道しない苦情
マスコミで報道される、企業の情報、製品やサービスに関する情報などは、いい面・利点ばかりであり、苦情の類や悪い面はほとんど報道されない。悪い面が報道されるのは、不祥事や事件を起こした場合だけだ。これはスポンサーに配慮した結果や、タイアップの結果であり、仕方が無いことであるが、世の中には「苦情」というものが存在する。新聞に関しても、社会問題になっている勧誘については一切触れないし、改めようともしない。不動産・新築マンションの物件に関する情報は度々報道されるが、各地で起きているトラブルの類や、電柱などに貼られる張り紙・チラシ、ステ看板などの悪質な行為については報道されない。電柱に無断でステ看板を付けることは違法なのにもかかわらず、その点は報道されず、物件の間取りや方角、まわりの住環境などが報道されるだけである。たとえ、物件を販売しているマンション・不動産業者がステ看板などを多用し悪質な行為をしていたとしても、それは隠され、物件の紹介のみが報道されるだけである。
チラシ・フリーペーパー等のポスティングも、苦情が多いことはあまり報道されないし、取り上げようともしない。宅配ピザや宅配寿司など、宅配に関する情報、商品に関する情報はよく報道されるし、共済など、保険料が安いという利点などは報道されるが、「ポスティングお断り」「チラシ投函お断り」などのポストに、何度も何度も宣伝チラシを投函し、それについて苦情が多いのにもかかわらず、苦情については報道されないのである。
常に苦情と隣り合わせであることを自覚するべき
ポスティングを例に取ると、通常、ポスティングは、チラシやフリーペーパーなどが自宅のポストに投函されるが、中にはそれが嫌いな人も居る。集合住宅などではポスティング禁止が基本であり、場合によっては、建造物侵入・住居侵入などで警察に通報、連行、逮捕の場合もある。東京都内のマンションでは、防犯カメラの映像と投函されたチラシなどを証拠として、最寄の警察に被害届を出したり、高額な罰金を請求する、投函されたチラシを回収させるということもあるのだ。ポストに「チラシ入れるな！」「広告など投函禁止」「チラシ厳禁」「ビラ・チラシお断り」などと表示してあるのに、何度も何度もチラシが投函されたらうんざりするだろう。またゴミ有料化の地域では、チラシの投函だけでもゴミ処理のために金銭的な負担が生じる可能性がある。
ポスティングも、業者任せにするのではなく、チラシの行方や苦情についても考えるべきであり、ネット上や新聞折込など、苦情の来ない宣伝方法を選択することも重要なのではないだろうか。チラシで何度も宣伝するより、他の方法を選ぶことでコストも削減でき、紙資源も無駄にならないので環境にも優しいと考えるといいのではないか。チラシで宣伝している企業や店舗の関係者は一度、GoogleやYahoo!などで、自社・自店の名前＋「苦情」「迷惑」「不買」「ポスティング」「チラシ」などで検索してみることをお薦めする。
苦情は悪いものではない
苦情・クレームは、企業や店にとっては苦痛であり、受けたくないという気持ちも解るが、それは顧客からのプレゼントなので、ありがたく受け取っておこう。そして、寄せられた苦情を元に、問題への対処をしたり、新たな販売戦略を考え出したり、様々なことに活用することもできる。苦情によって、製品やサービスを向上させるチャンスはすぐそこにあるのだ。これを活用しない手はないだろう。もし苦情が来ていなくても、自社・自店の名前で評判の情報を調べてみることも有効だ。意外と表に出ていない悪い部分が見つかるかもしれない。
苦情はプレゼントなのでありがたく受け取り、時には謝罪・反省し、この本を参考に、今後の売り上げアップに役立ててみてはどうだろうか。
関連項目
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