なお、広義の人工言語においてはプログラミング言語なども含まれるが、本稿では含めないこととする。
概要
我々が普段用いている通常の言語(自然言語という)も人間が編み出したものという点では「人工」と言えなくもないが、自然言語は人類が言語を獲得するのに伴い自然発生的に生まれ、長い時間をかけて変化してきたものであり、誰が考案したでもなくその成立の過程も明らかでない。
それに対して人工言語はその構造が特定の一人ないしごく少数の人間によって生成されており、その成立の過程が明確にされている。
人工言語はおのおのの目的に特化した形で考案、生成される。以下にその例を挙げる。
- 異なる母語を持つ者同士のコミュニケーションに使われるために作られた言語。習得のしやすさを考慮して広く普及している言語から単語を採用し、不規則な活用(英語のgo→wentのような)を排除していることが多い。エスペラントなど。
- 手垢にまみれた既存の自然言語によらず哲学的論理を表現するという哲学者の要求に答えるための言語。哲学者自身が作者であることが多く、一定の分類規則に従って単語を生成するとか単語数がきわめて少なく抑えられているとか、作者の思想に基づく特異な形態を持つものが多い。
- フィクションの世界で使用されている(いた)という設定のもとに作られる「架空言語」。子供の暗号遊び程度の知識で解読できるもの(要するに日本語で書かれた暗号)や単なるでたらめな記号の羅列から、単語や文法を1から生成し自然言語の持つ曖昧さや不規則性まで模倣した大掛かりなものまで多岐にわたる。クリンゴン語(スタートレック)やエルフ諸語(指輪物語)など。
- 情報を秘匿するための言語。ヴォイニッチ手稿などいくつかの未解読文書は人工言語で書かれているという説もある。
- 話者が絶滅した古代語を現代社会での使用に耐えるよう改変し復活させたもの。現代ヘブライ語がそれにあたる。
- 個人の遊びによるもの。何か目的があって作るのではなく、むしろ作ることそのものが目的。インターネットが普及した近年は世界のあちこちで人工言語が考案されており、個人のウェブサイトや動画サイト(YouTubeで"conlang"と検索すると自作の人工言語に関する動画が多数ヒットする)で発表されている。掲示板やSNS上で不特定多数の人間によって人工言語の作成が行われていたりもする。
中には上に挙げた目的の複数が当てはまるものも多い。
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関連項目
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