「四畳半神話大系」とは、森見登美彦の小説である。
2005年1月5日に刊行。2010年4月より「ノイタミナ」枠にてテレビアニメが放送開始された。
第九話
私はもはや決死の覚悟であった。一か八か、あるチラシを手にした。数あるチラシの中で異彩を放つそのチラシは
秘密機関「福猫飯店」
まさか秘密機関と大々的にチラシに書く秘密機関が有る訳無いと思っていたが「福猫飯店」は看板に偽り無く秘密機関であった。大学の裏家業を一手に引き受け大学を裏でコントロールしている組織それが「福猫飯店」。
私は様々な下部組織に配属されるも成果が全く上がらない、反対に小津は悪質な技巧を凝らし、不可思議な人脈を広げつづけ一回生ながら店主・相島の右腕までに上り詰めていた。
ある日、相島の公私混同した指摘命令に嫌気が差した私はミッション遂行現場より逃亡してしまった。今度こそ私は相島の手によって社会的に抹殺されてしまうだろう。しかし追っ手が来る事は無く、私が小津のクーデターによる相島失脚を知ったのは逃亡より一週間後であった・・・。
第八話
もともとインドア派である私は、読書を通じて出会いを求める。多角的な薔薇色のキャンパスライフのために私が選んだ一つが
読書サークル「SEA」
小津から古本屋で買った一冊の本を貰い受ける。愚にもつかない青春小説であったが、最後のページに美しい筆跡で住所と名前が書いてあった。その樋口景子という名前に惹かれた私は、この景子さんに便箋一枚半にしたためた手紙を送った。こうして嘘のようなきっかけから私たちの文通の火蓋は切られたのだ。
手紙が届くたび景子さんの人柄が垣間見えた、それはまさしく私の理想像というべき女性だった。勢いで私もなるべくよく見られるように書いた、多少美化された部分もあるが、これは洒落た演出というべきであろう。
このまま景子さんとはプラトニックな関係が続くのかと思われたが、景子さんから「良ければ一度お目にかかれませんでしょうか?」と手紙が来る。彼女を本気にさせてしまったのは私の文才のなせる技だが、手紙の中の私は一人歩きし現実の私を大きく引き離していた。しかも、景子さんとの待ち合わせの当日私は別の女性二人と外せない用事を抱えていた。だが私は景子さんにありのままの私をさらけ出さねば・・・。
第六話
一つのサークルに身を捧げるという事は、ともすれば大学生活を丸ごと棒に振るということになりかねない。リスクは分散すべし。複数のサークルに参加し、多角的な薔薇色のキャンパスライフを送るのだ。私が選んだ三つのサークルのうちの一つが
英会話サークル「ジョイングリッシュ」
「その英会話サークルに参加する羽貫さんは歯科衛生士であり、小津という共通の知り合いがいたため次第と親しくなり、サークルの後毎回カフェでお茶をする間柄となった。
ある日私は羽貫さんに始めて飲みの誘いを受ける。しかし、なんだかいつもと様子が違う。恋人と何かあったのかも知れない。だからこそ私を飲みに誘ってくれたのだ。羽貫さんは心の拠り所が欲しいのではないか?こういうときこそ私が支えてあげなければいけないのではないか?
しかし、私は羽貫さんと同時に別の女性二人から誘いを受けていた。華やかさとは無縁だった吾が人生がここへ来て、女性三人に囲まれる最高潮を迎えている。八面六臂の桃色遊戯の達人を目指す器で無いならば、誰か一人に決めなければならない・・・。
第四話
私が手にした一枚のチラシ、その胡散臭いチラシの向こうには、いかなる栄光の未来をも思い描く事が出来なかった。そのチラシ書かれていたのは
弟子求ム
「その千里眼は祇園の雑踏より意中の乙女を見つけ その地獄耳は疎水へ降り散る桜の音も逃さず 我こそは樋口清太郎 来たれ 仙才を秘めたる若者よ」
その内容を見て私は、今すぐこのチラシを手放さなければ、そして出来るだけここより遠くへ逃げおおせねばと予感したが出来ず、樋口師匠の弟子となってしまった。私の悪い予感は的中した、樋口師匠の下で私は、すでに師匠の弟子となっていた小津と共に、師匠の宿敵である城ヶ崎先輩との「自虐的代理代理戦争」という名のいたずら合戦に明け暮れる無益な2年間を過ごすハメになった。
ある日、師匠から伝説の亀の子束子を探すように命じられた私は、京都中を足を棒にして探し回るも一向に見つからない。あきらめかけていたところ妹弟子の明石さんとバッタリ出くわす、なんと明石さんも一緒に探してくれるというではないか・・・。
下鴨幽水荘。叡山出町柳裏にある下宿である。人から聞いた話によると幕末の混乱期に焼失して再建以後そのままであるという、窓から明かりが漏れていなければ廃墟同然、何も知らずにここを訪れた者は、九龍城に迷い込んだのかと思ってしまうというのも無理からぬ話だ。この今にも倒壊しそうな下宿に起居する私は、大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。
私とて大学入学当初からこんな有様だったわけではない。高校時代は特にクラブ活動もせず、同じような非活動的な男達とくすぶっているばかりであったが、晴れてピカピカの大学一回生、友達百人できるのも悪くないと思っていた私は数々のサークルが個人の情報処理能力を遥かに凌駕する無数のチラシを差し出す大学の時計台へと足を向けた。そこには光り輝く純金製の未来が扉を開いているように思われた。そのどれを選んでも「薔薇色のキャンパスライフが、黒髪の乙女が、そして全世界が約束される」と思っていた私は、手の施しようのない阿呆だった・・・。
もしあの時違うサークルを選んでいたならば、黒髪の乙女と薔薇色のキャンパスライフを送っていたに違いない!
スタッフ
楽曲
放送局
フジテレビ、関西テレビ、東海テレビ、サガテレビ、BSフジ、さくらんぼテレビ
受賞歴
2010年12月8日、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を受賞。同賞創設以来初めてのテレビアニメ作品での大賞受賞を果たした。また、2011年3月1日、第10回東京アニメアワードでもテレビ部門優秀作品賞を受賞している。
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ページ番号: 4356490
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リビジョン番号: 3263828
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