多摩都市モノレール線とは、多摩都市モノレール株式会社が運営するモノレール路線である。
呼称・略称は『多摩モノレール』。
概要
第三セクター方式で設立された事業者で、東京都がおよそ8割、他に沿線自治体や関係する鉄道事業者、銀行等が出資している。多摩エリアの南北方向の移動手段を充実させ、地域間交流・連携を促進する目的がある。
1998年11月に全線の北半分に当たる上北台-立川北間を開業。2000年1月に全線開業となった。開業当時、石原慎太郎都知事が初めて乗車した際、「高速道路を高級車で走ったみたい」との感想を述べた。もっとも曲線やアップダウンが多く、速度は30~50km/h程度。朝昼の手動運転の場合、速度制限により急ブレーキがかかる時がある(特に多摩センター行きの甲州街道-万願寺間)。
開業当初より全ての駅にホームドア・エレベーター・エスカレーターが設置されていて、バリアフリーに配慮したつくりになっている。全駅にホームドアを設置したのは多摩モノレール以前にもポートライナー・営団南北線・アストラムライン・京都市営地下鉄東西線などがあるが、いわゆる「スクリーンドア」ではない柵タイプのホームドアでは初めての全駅設置路線。
多摩川や商業地の町並みを一望でき、天気が良ければ富士山も望むことができる。また大学の名前がついた駅があるとおり、学生の利用者が多い。
開業後の当路線は、上記の目的に沿う形で利用者数が年々増加傾向にあり[1]、開業6年目の2005年に営業黒字を達成するなど新設路線としては異例なレベルで安定した成長を続けている。2016年現在では日本で最も利用者数が多いモノレールであり、一日の平均利用者数は14万1229人にも上る。あの羽田空港を擁する東京モノレールや伊丹空港のある大阪モノレールですら13万人足らずなので、モノレールへの依存度が大きい多摩地域の重要な地域交通を担っていることがよくわかる。
しかし、莫大な建設費の償還に開業当初から現在に到るまで悩まされて続けており、東京都と沿線自治体の支援を得て経営合理化努力を続けている。
開業20周年記念
2018年11月27日~2020年1月20日の間、開業20周年記念特別期間と銘打って様々な改革や記念事業を実施。例を挙げると
- ブランドスローガンの変更 「みらいをむすぶ」→「さ、いこう!な 見晴らしを。」
- 開業以来初の全面的なダイヤ改正…終電の繰り下げや高松止まりの廃止、土休日の大増発など
- 車内放送の変更、英語放送の導入
- 駅放送と電光掲示板(発車標)、発車メロディの変更
- 駅名標の変更…各駅を象徴する切り絵風の画像が入ったデザインになる
- 運行情報を表示するモニターを各駅に設置
- その他、イベント列車の運行や記念イベントの実施など
停車駅(全て各駅停車、東京都内)
運賃・乗車券
運賃は以下のとおり。高い
- 1駅特例運賃 110円(IC 102円)
- 3kmまで 220円(IC 214円)
- 5kmまで 270円(IC 265円)
- 7kmまで 320円(IC 316円)
- 10kmまで 370円(IC 367円)
- 16kmまで 410円(IC 408円)
1駅特例運賃は、駅区間の料金が他路線よりも高く不評だったために2001年4月から導入された(導入当初は100円)。あくまで特例運賃のため、回数券や定期券は1駅区間でも割引にならず3kmまでの発売額と同じ。
PASMOを導入しており乗車券とのダブル投入や、相互利用しているSuicaの利用も可能。さらに2017年4月からは、全国相互利用サービスにも対応した。ICカードで2駅使うときは途中の駅で一旦降りた方が安かったりする
立川北駅と立川南駅はひとくくりとしていて、立川南駅~高松駅相互間と、立川北駅~柴崎体育館駅相互間を乗車する場合でも1駅特例運賃となる。また本来は運賃区分に差が出てしまう砂川七番・桜街道・高幡不動~立川北or立川南も、南北で安い方の運賃が適用される。
一日乗車券は890円と決して安くない設定だが、沿線施設の入場券等がセットになった「多摩モノレールセット券」を購入すれば別々に購入するよりもかなり安くなる。
(例:立川南駅から多摩動物公園を利用する場合、単純往復と入園料を合わせれば1240円。しかし多摩動物公園セット券を利用すればモノレール乗り放題付きなのに1000円になる)
期間限定ではあるが、多摩モノ-西武ドームへの応援セット券目的に多摩在住の西武ファンが利用するのも手である(詳細は関連リンク先へ)。
延伸計画
当路線は主に多摩センターから延長して町田や八王子、上北台から延長して箱根ヶ崎への延伸計画がある。町田に延伸した場合を想定し、JR町田駅前にあるデパート・町田東急ツインズの連絡通路は地上5階と非常に高い所に存在している。
これらの計画はかねてから検討が進んでいたが、2020年1月23日に上北台~箱根ヶ崎間7.2kmの延伸事業に正式着手することが東京都から発表された。開業日は未定だが2032年頃の予定で、新たに7駅設置される予定。箱根ヶ崎延伸が実現すれば、都内で鉄道が存在しない武蔵村山市にも悲願の新線開通となる見込み。
さらに2022年1月28日には「多摩都市モノレール町田方面延伸ルート検討委員会」から町田延伸のルート選定の検討結果が発表された。従来案のA案、拠点を拾うB案と短縮版のB'案、最短ルートのC案が検討されたが、沿線開発の観点などから最終的にB案が採用となった。
アニメ作品の聖地として
『とある魔術の禁書目録』シリーズの舞台となる学園都市のモデルが東京都立川市であり、同市内を走る多摩都市モノレールをモデルとした風景が作中に登場する。2013年2月には劇場版の公開と併せてコラボレーションイベントが開始され、記念乗車券の発売や車内広告をとあるシリーズ一色に染めた「とあるモノレール」の運行を実施している。また2020年1月にはとあるシリーズと立川観光協会のコラボイベントが10周年を迎えた記念として、上北台~多摩センター~立川北の特別貸切列車の運行と多摩センター駅でのトークイベントが開かれた。
また、『パパの言うことを聞きなさい!』の作中では多摩モノレールの中央大学・明星大学駅周辺をモデルとした風景が描かれている。
ニコニコ動画における多摩モノレール
ニコニコ動画においては宗教的な人気を誇った時期があり、多摩モノレール教→多摩学会の設立により多くの信者を獲得するに至った。現在はブームも落ち着いているが、当時の名残は投稿動画のコメントに色濃く残されている。
関連動画
関連商品
関連リンク
関連項目
- 東京都
- モノレール
- 第三セクター
- 鉄道事業者・路線一覧
- よしいけいこ / 村山明 … 旧・駅構内自動放送の担当者。
- 田尻敏明 … 新・駅構内自動放送の男声担当者。(女声は一丸志保?長瀬裕子?)
- 中村啓子 … 旧・車内放送(自動放送)の担当者。
- 亀井佐代子 … 新・車内放送(自動放送)の担当者。
- 多摩学会(多摩モノレール教)
脚注
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