概要
人気が高いときに凡走し、人気が薄いときに勝利または好走する馬のこと。その馬は馬房で競馬新聞を読んでおり、馬券師を担いでやろうと思ってるに違いない! と誰かが冗談で言い始めたことに由来するという。
元祖は後述の通りカブトシロー。続いてどの競馬ファンにきいても確定でこの枠に入ってくるのは、エリモジョージとダイタクヘリオスである。
しかし、人気と着順が何度も逆転することはそう多くはなく、それ以外の馬については当人の主観によるところが大きい。どんな名馬でも、運悪く負けたときの馬券ばかり買ってしまい、それが印象に残っている人も一定の確率で現れる。
悪く言っているようではあるが半ば愛称のようでもあり、実際カブトシローは種牡馬引退後の殺処分に対してファンからの猛反発があって功労馬となった。
類義語
新聞を読む馬の例
以下、いわゆる「新聞を読む」、人気薄で好走し人気が高いと凡走する(とされた)馬の例を挙げる。前述の通り、主観によるところが大きいので、なぜこの馬がいるのかと納得のできない人もいるだろう。
生年順。
カブトシロー
元祖「新聞の読める馬」。
皐月賞では11番人気12着と概ね人気通り、その結果を受けた日本ダービーでは18番人気にまで落ち込んだところ5着と掲示板確保。このあたりから片鱗を見せ始め、カブトヤマ記念で初の重賞制覇を果たしたときは7番人気と、人気薄での激走が目立つ。
後年結果を俯瞰すれば、実際には「人気薄で凡走」が遙かに多い。しかし、重賞で人気が低いと勝ち、それを受けて平場で高い人気を得ると負け、というパターンやその逆がたびたび見受けられ、馬券を買う側からすれば印象に残りやすい成績であることがうかがえる。
また、当馬の記事や『20世紀の名馬』でも語られるとおり、1967年のステイヤーズS・目黒記念・天皇賞(秋)・有馬記念の重賞4連戦においてきれいに新聞を読むパターンであったことがこのイメージに拍車をかけているものと思われる。
エリモジョージ
カブトシローより大分あとの馬だが、稀代の癖馬として共に語られている。
こちらは「新聞を読む」というより「気まぐれジョージ」の異名で知られる。
カブトシローよりはっきり、1番人気で惨敗・低人気で圧勝を繰り返す馬であった。
ダイタクヘリオス
この馬の場合、新聞の読みっぷりもさることながら、ダイイチルビーとのなれそめ、口を開けて走る様から「笑う馬」と呼ばれた、メジロパーマーとの爆逃げコンビ結成、産駒ダイタクヤマトの最低人気G1制覇などネタ要素満載であり、「新聞を読む馬」の代表格とされながらもそればかり取り上げられることは多くない。
エイシンフラッシュ
「新聞を読む馬」でGoogle検索すると「他のキーワード」欄に載っているし、Yahoo知恵袋にもそのような感想コメントがある。もしくは2010年代前半のニコニコ動画のコメントに残っていたりもする。
実際には、ダービー以降の1番人気は次走の神戸新聞杯しかなく、その後の勝利は天皇賞(秋)と毎日王冠しかないため、人気と順位の逆転が度々起こっていたとは言いがたい。
当馬の代名詞であった「馬体詐欺」との混同か、2012年毎日王冠(2番人気9着)→天皇賞秋(5番人気1着)が鮮烈に記憶に残っているかのいずれかと思われる。
浮き沈みは激しいが新聞を読んでいない馬の例
浮き沈みは激しいが、パターンが読めるので人気通りになってしまう場合、勝っても負けてもお構いなしに人気が高い場合、別の物語で上書きされて「新聞を読む馬」とは言われていない場合などもある。
そもそも平成も後半になれば「新聞を読む馬」自体が死語となり、令和の世になって新たにそのような馬が出てきても、そう呼ばれるかどうかは未知数である。
トウカイテイオー
いわゆるTM対決となった1992年天皇賞(春)ではメジロマックイーンを抜き1番人気。結果はマックイーンの5着となり、無敗伝説は終わりを告げた。
それ以降は、1番人気で負け、それ以外で1着を引退まで繰り返していたので、結果だけみれば「新聞を読む馬」の定義に当てはまりそうに見える。
しかし、彼の結果は骨折からの復活を繰り返したことによるものだった。また、これ以降の勝利は1992年ジャパンカップと1993年有馬記念であり、共にドラマチックに語られるている。全体的には「度重なる逆境から奇跡の復活」と受け取られている。
ルーラーシップ
5戦目のプリンシパルステークスまではずっと1番人気だったが、勝ったり負けたりを交互に繰り返すことに気づかれたらしく、日本ダービー以降はほぼ人気通りの決着となっている。
ゴールドシップ
「稀代の癖馬」という評価では平成随一であり、レース結果も浮き沈みが激しかったが、(当馬のキャラも含めて)人気は安定して高く、スランプとされた2013年ですら1番人気か2番人気であった。
ただし、2013年は1着と5着を交互に繰り返したため、当馬のピンク色がかった芦毛と引っかけて「いちご大福」と呼ばれた。では5着に終わった京都大賞典の次は1着だろうと思って次のジャパンカップの馬券を買ったらなんと15着、という結果は今や笑い話としてネット上では語られている。
なお、実際に2012年菊花賞当日に放映されたJRAのCM「The WINNER」で1983年菊花賞のミスターシービーのCM放映されていたが、本番で当時宛ら「最後方から上りで一気に抜いて」勝つと言うCM通りの事をやった為、「シップがこのCMみてた」だの「誰かがシップにCMを見せた」だの言われた事があった。
本当に新聞を読んだ馬
文字通り受け取って、馬に本当に新聞を読ませる写真がメディアにアップされることがある。
例えば、キタサンブラックは自分の引退レースである有馬記念の新聞を、厩務員と馬房で読んでいる写真がある。
新聞以外のメディアを使いこなす馬
近年SNSや動画投稿サイトが隆盛したことにより、実際に馬名義でそれらのチャンネルを開設する例が増えた。そのような馬は、「新聞を読む馬ならぬ~」として引用される。
現役競走馬ではそれほど多くないが、引退馬の近況報告や、何らかの広報代表とになっていることも。
茶太郎(乗用馬)
健康手帳(馬の身分証明を兼ねる)を紛失した状態で引き取られたため、出自を探すためにTwitterを始める。この時点では乗用名「茶太郎」を名乗っていた。
その後有志により、競走馬マチカネオンガエシであったことが判明している。
サクセスブロッケン
誘導馬時代にFacebookチャンネルを開設し、事実上の東京競馬場広報として機能していた。
後輩のネコパンチもよく一緒に現れた。
のちに東京競馬場の公式Facebookチャンネルと統合し、サクセスブロッケンのチャンネルは更新を停止した。現在はサクセスブロッケン自身も誘導馬を引退している。
サトノロマネ
乗用名「暁」。「ユーチュー馬」を名乗り、NPO法人なみあし会のYouTubeチャンネルの収益で自らの食い扶持を稼いでいる。
中央では2勝に終わったものの、皐月賞に出走したことがあるため現役時代の映像がJRA公式チャンネルで見られる(勝ち馬はアンライバルド、サトノロマネは12着)。
その後地方競馬を転々とした後高知で27勝を挙げ、引退後なみあし会に引き取られた。
グランアレグリア
音に馴れさせる目的で設置されているAMラジオを熱心に聞き入っているという。自身の動画チャンネルやSNSアカウントは持っていない。
アフリカンゴールド
Twitterアカウントで戦法のアンケートまで取り、しかもそれで勝ってしまうという新しいTwitterの活用法を見いだした馬。
フィクション作品
上記の慣用句は、「馬は新聞を読めない」という前提があってこそのものである。
フィクションでは馬が擬人化されていることも多く、そのような作品の場合は新聞を読んでいるのがむしろ当たり前のことである。その場合、本来の「新聞を読んで馬券師を欺く」ようなことをする馬はそれほど多くない。人間のスポーツ選手のように、喜んだり、図に乗ったり、悔しがったりする。
馬なり1ハロン劇場
みどりのマキバオー
優駿劇場
同作者の『優駿たちの蹄跡』と異なり、本作は馬が擬人化しており、しゃべるどころかびわこ競輪でスッテンテンになったり、大井競馬場から美浦トレセンに偵察に行ったりするので、新聞ぐらい当たり前のように読む。
必ずしも競馬欄を読んでいるわけではなく、政治面や経済面を読んで人間の政治にもの申したりする。日本ダービーでノーパンしゃぶしゃぶについて叫びながら突っ込んでくるスペシャルウィークは必見である。
ウマ娘 プリティーダービー
馬が完全に人の形を取っており、新聞を読むのもテレビを見るのも当たり前に行っている。
本作のアニメ版はニコニコ動画で配信されており、新聞を読んでいるシーンでは、
カ ブ ト シ ロ ー
また、二代目「新聞の読める馬」ことダイタクヘリオスはウマ娘として登場しており、ゲーム版での育成ストーリーでは「自身を絶賛する新聞記事を読んだせいで平静を欠き、レースに悪影響を及ぼしてしまう」という展開がある。
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